物流とロジスティクスは似て非なるものです。本記事では両者の違いや役割、メリットをわかりやすく解説します。さらにSCM(サプライチェーンマネジメント)の重要性や、その最適化によるコスト削減や顧客満足度向上の秘訣を掘り下げ、最後には持続可能な物流体制構築に向けたソリューションもご紹介します。
物流とロジスティクスの違いとは
物流とロジスティクスは混同されることが多いですが、異なる意味を持っています。
物流は、生産された商品が消費者の元へ届くまでの「モノの流れ」そのものを指します。
一方でロジスティクスはモノの流れを最適化する「仕組み」を指し、物流もロジスティクスに含まれているのです。
本章ではそれぞれの定義の詳細を解説します。
物流の定義
物流とは、「生産者から消費者まで商品を届けるための一連のモノの流れ」を指します。
このプロセスには、以下のような業務が含まれます。
上記5つに加え、物流効率化に向けて物流の一連の過程において生まれるさまざまな情報を管理する「情報処理」を含めて「物流の6大機能」と呼ぶこともあります。
ロジスティクスの定義
ロジスティクスは商品供給における調達、生産、販売、回収の一連のプロセスを管理し、効率化する仕組みのことです。
ロジスティクスでは、下記のような要素を戦略的に取り入れることで、顧客が必要としている商品を、必要なタイミングで、必要な場所に、必要な数だけ届ける「物流」の機能の高度化を図ります。
これにより企業全体の業務効率化や顧客満足度の向上を実現できます。
ロジスティクスの役割
ロジスティクスは商品の供給プロセスにおける戦略的な仕組みを指します。
本章ではロジスティクスが企業活動においてどのような役割を果たしているかを詳しく解説します。
需給バランスの最適化
ロジスティクスは、需要予測を基に、生産計画や配送スケジュールを調整し、顧客に必要な商品を適切なタイミングで届ける役割を果たします。
需要予測には、販売実績や需要変動の分析、そして市場動向の把握が必要です。
これを正しく行うことで、在庫の過剰や欠品を防止し、物流業務の効率化を図れます。
また、生産計画や配送計画と連携することで、コスト削減や納期遅延のリスクも抑えられます。
情報管理の高度化
情報管理を高度化させることで、リアルタイムでの在庫や輸送状況を把握し、迅速な意思決定をサポートします。
情報管理の具体的な手段としては下記が挙げられます。
これらを用いて情報管理を徹底することで、遅延やトラブルが発生しても迅速な対応が可能になります。
営業の支援
納期管理や在庫情報の共有、迅速な対応、そしてコスト競争力の強化などを通じて、営業チームの成果を最大化します。
具体的には下記のようなメリットが挙げられます。
納期管理と信頼性の向上
配送状況を把握することで、営業担当者は顧客に納期を正確に伝えられるようになります。
また輸送ルートや在庫の問題を早期に発見・解決することによる遅延の回避や、お客様からの緊急の要望や配送の変更に迅速に対応することによる、柔軟なサービス提供が可能になります。
これらは信頼性の向上につながり、長期的な取引関係の構築をサポートします。
在庫情報の提供と提案力の強化
営業活動では、正確な在庫情報が顧客への提案や注文対応の基盤となります。
ロジスティクスが在庫を一元管理し、営業時に情報を提供することで、効率的な営業活動を支援します。
特定商品の有無のみならず、補充予定の把握や代替商品の提案、過剰在庫を活用したキャンペーンやセールの提案などによる顧客満足度の向上や販売機会の拡大が期待できます。
ロジスティクスのメリット
ロジスティクスの最適化は、企業のコスト削減やサービスの品質向上、さらには環境負荷の軽減といった多岐にわたるメリットをもたらします。
本章では具体的なメリット4つについて詳しく解説します。
コスト削減
ロジスティクスの最適化により、物流にかかる費用を大幅に削減できます。
具体的には輸配送ルート最適化による燃料費や人件費の削減、在庫量の最適化による保管コストや欠品による機会損失の削減などが実現可能です。
サービス品質の向上
ロジスティクスを最適化することで顧客に対して、より迅速で正確な配送を提供することが可能になります。
例えば一部のECサイトや小売業者では、翌日配送や指定配送のようなサービスを提供していますが、これらはロジスティクスの最適化により実現しています。
迅速で正確な配送は、顧客体験を向上させ、競争の激しい市場における差別化要素となります。
環境負荷の軽減
ロジスティクスの最適化による輸送距離の短縮やエネルギー効率の向上を通じて、環境負荷を軽減できます。
これは、企業の社会的責任(CSR)やESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みにもつながります。
環境負荷の軽減に向けた具体的な取り組みとしては、トラックの積載率向上、複数の企業が物流リソースを共有する共同配送などで輸送回数を削減させる輸送の効率化や、トラック輸送から鉄道や船舶輸送に切り替えることで、大量輸送の効率化とCO₂削減を実現するモーダルシフトなどが挙げられます。
環境負荷を軽減することで、企業の社会的信頼を高めるだけでなく、持続可能なビジネスモデルの構築にもつながります。持続可能性が重視される社会において消費者や取引先へのアピールにもなるでしょう。
競争力の強化
ロジスティクスの最適化は、競争の激しい市場での優位性確立にもつながります。
需要変動や災害時の物流停滞にも迅速に対応できる柔軟な体制を構築したり、特急配送やオンデマンド配送など、顧客ニーズに応える新サービスを展開するためにもロジスティクスの最適化は重要です。
これらの柔軟かつ顧客ニーズを捉えたサービスを提供する基盤づくりにより既存顧客の維持と新規顧客の獲得が促進され、市場シェアの拡大につながります。
ロジスティクスより広義のサプライチェーンマネジメント
SCM(サプライチェーンマネジメント)は、ロジスティクスをさらに広範囲で包括的に管理する経営手法です。ロジスティクスが商品を消費者へ効率的に届ける仕組みにフォーカスするのに対し、SCMはサプライチェーン全体を視野に入れ、上流から下流までを最適化するアプローチを取ります。
SCMの基本的な目的は、「必要なモノを、必要なときに、必要な場所に、必要な量だけ届ける」ことです。これを実現するために、構想、計画、統制、実行、評価を行いサプライチェーン全体の効率化を目指します。
SCMがもたらすメリット
全体最適化による効率化
サプライチェーン全体を可視化することで、各工程の無駄を排除し、効率的な運用が可能になります。
例えば輸配送ルートを効率化しコスト削減や納期短縮を実現したり、複数の拠点で分散していた在庫を一元管理することで重複した在庫を削減するなどの改善が可能です。
在庫削減とコストダウン
SCMにより、需要予測を基にした適正な在庫管理が実現します。結果として、過剰在庫や欠品のリスクを最小限に抑えられる上、倉庫スペースや管理コストなどの保管コストの最適化も可能です。
迅速な意思決定
データ分析やAIを利用し、リアルタイムの情報を活用することで、迅速な意思決定を可能にします。これにより、需要変動や市場の変化に柔軟に対応でき、競争力の強化にもつながります。
具体的には売上データや市場動向を分析し、最適な生産や物流計画を立案する、AIを活用して需要予測の精度を向上させ、変化に素早く対応する、天候や災害などのリスクを考慮し、代替ルートの提案や在庫移動を迅速に実行する、などの改善が可能です。
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物流とロジスティクスは企業活動の基盤であり、SCMはその最適化をさらに高次元で実現する経営戦略です。
オプティマインドが提供する「Loogia」は、これまでラストワンマイルの輸配送最適化ソリューションとして多くの実績を積んできました。
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