2023年2月、日本生活協同組合連合会様(以下コープ様)の「配送コース最適化」の取り組みを紹介するオンラインセミナーを開催いたしました。
コープ様は、2020年よりICTによる事業・活動でのデジタル変革の推進に向けた「DX-CO・OPプロジェクト」に取り組まれており、その一環として、配達コース作成業務の合理化と走行距離の短縮を目指す「配送コース最適化」プロジェクトを進められています。
当記事では、コープ東北事業連合 常務理事 河野様の講演内容をまとめ、コープ様の「配送コース最適化」の取り組みについて、Loogia導入前の課題や既存システムとの違い、Loogiaの導入効果などを交えてご紹介します。
Loogia導入前の課題
コープ様の宅配事業では、全国約2万台のトラックが毎週稼働しており、それぞれの生協ごとに配送コースの作成が行われています。
Loogia導入以前は、配送コース作成業務の負荷が高く、
の3点が課題となっていました。現場の経験に基づき既存システムを使用してコースを作成していましたが、日々の配送件数や物量の増減、配送担当者様のスキルなども考慮しながらの効率的なコース作成が難しく、さらに留守置き希望の増加など、組合員様とのコミュニケーション時間が短くなる中で、高い効率性と安定性を維持した配送を実現していかなくてはならないという状況に置かれていました。 そこで、上記の課題解消と配送コースの最適化に向けて、東海コープ会員生協 コープあいち様とLoogiaを用いたPoCの実施を進めることとなりました。
生協の既存システムとLoogiaの違い
東海コープ様の検証結果において、既存ルートとLoogiaのシミュレーション結果をみてみると、既存ルートは雑然とした印象がありますが、Loogiaでは配送先を的確に短距離で結ぶルートが作成されていることがわかります。
密集地以外の移動距離が長くなる配送先については、既存ルートでは配車効率の低下が問題とされていましたが、Loogiaではこうした配送先についてはコースを集約し専用車を配置するなど、既存のシステムにはない新たな視点でのルート作成が行われています。
また、密集地への配送については、既存システムでは複雑に入り組むエリアのルート算出が難しく、ゼロからの計画作成の難易度が高くなっています。その一方で、Loogiaでは複雑な箇所を紐解きルートを作成することができるため、配送ルートの全体最適が可能となっています。
Loogiaの導入効果
配送コースの最適化に向けて、コープあいち名東センターにてシミュレーションを実施し、さらにそれを踏まえて、コープあいち三好センターにて本番環境でのPoCを実施しました。
コープあいち名東センターでのシミュレーション結果
コープあいち名東センターでは、5つのコースのシミュレーションを行いました。 その結果、Loogiaで作成したルートに基づき配送を行う場合、現行と比較して総走行距離で約15~16%、総走行時間では約13%の削減が可能であるという結果となりました。
コープあいち三好センターにて、1回目のPoCを実施
名東センターでのシミュレーション結果を踏まえ、三好センターにて本番環境でのPoCの実施を2回行いました。
1回目のPoCでは、配送条件として左付け指定、Uターン禁止、配達件数均等化を設定した上で、配送先908件に対し22コースで配送を行うシミュレーションを実施しました。その結果、配送コース数3コースの削減、総稼働時間22時間34分の短縮、総走行距離54キロの削減が可能であるという結果となりました。
しかし、実際にそのシミュレーションに基づき配送を行ったところ、作業時間(現場滞在時間)などに余裕がなく、シミュレーション通りの配送は難しいことが明らかになりました。そこで、作業時間や配送条件に改善を加えた上で、2回目のPoCを実施しました。
1回目の結果を踏まえ、2回目のPoCを実施
2回目のPoCは1回目とは別のエリアで実施しました。時間とコースに余裕を持たせるため、配達件数ではなく勤務時間の均等化を配送条件として設定した上で、作業時間を1分伸ばし、コース数を21.5コースとしました。
その結果、配達件数が48件増加しているにも関わらず、総稼働時間を約6時間削減することが可能となりました。
2回目のPoCでは配送条件を緩和したため、1回目より効果は減少しましたが、それでも約10%削減が可能であるという結果となったため、本番導入に向けての取り組みが進められることとなりました。
2回のPoCを経て、本番導入へ
2022年4月にコープあいち様の3つのセンターにて本番導入が実施され、同年8月にはコープぎふ様、コープみえ様でも導入が開始されました。
導入後は各センター内でシミュレーションを完結できるようになり、ルート作成や調整を円滑に行うためのノウハウの蓄積も進んでいます。
配送コースの改善状況は、コープあいち様の各センターにおいてコース数・総走行距離ともに削減を実現しており、その他の効果として、通常配送とは異なる特別なコースの作成や人員体制の確保にも役立っているとの声があります。
このような本番導入の結果を踏まえて、その他のセンターや生協においても、それぞれの現場状況を考慮した上での導入検討が進められています。
さいごに
当記事ではコープ様の「配送コース最適化」の取り組みについて、Loogia導入前の課題や既存システムとの違い、Loogiaの導入効果などをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
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