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【セミナーレポート】<前編> 徹底解説!物流政策パッケージの最新動向とその対応策

2024/12/06

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コラム

2024年5月、経済産業省 商務・サービスグループ 物流企画室 室長補佐 大西様より政策パッケージ等の最新情報とポイントについてご紹介いただくとともに、有識者および事業者を交えたパネルディスカッションを通じて事業者における現状と課題、今後の展望について解説いただくオンラインセミナーを開催いたしました。

当記事では、セミナー前半の経済産業省 大西様による基調講演「『物流の2024年問題』への対応について」を主要なポイントに絞ってご紹介いたします。セミナーにご参加いただけなかった方も概要をご覧いただける内容となっております。

基調講演 「物流の2024年問題」への対応について

物流の現況について


基調講演1

現在、物流の2024年問題に起因する労働時間の制約等に大きな影響を受けているのは、自動車つまりトラックとなっています。「国内貨物輸送量・輸送手段の推移」をみると、物量や距離ベースにおいても自動車(トラック)が占める割合は大きく、私たちが普段生活に必要としている物の大半がトラックによって運ばれているという現状がわかるかと思います。


基調講演2

直近の物流の変化について需要と供給の面からみると、需要については、近年では「貨物一件あたりの貨物量」が半減するところまできています。こちらはEC取引などが主流となる中で、物流の小口多頻度化が急速に進行しているためとみられます。そのため「貨物一件あたりの貨物量」は減少していても、物流の件数は増加しており、結果として貨物自動車の積載率は低い水準となっています。このような、いわゆる「空気を運んでいる」という状況が現在の物流が抱える大きな課題であり、ここをどのように改善していくかということが重要となってきます。


基調講演3

供給について、トラックドライバーの働き方に関する現状のデータをみると、ドライバーの年間労働時間は全産業と比較して2割ほど長いということがわかります。また、年間所得額についてもあまり高い水準とはいえず、現在のトラックドライバーは必ずしも良い労働環境にあるとはいえない現状となっています。
さらに、ドライバーの高齢化も深刻な問題となっており、今と同じように「ものを運ぶ」ということができない時代が来るのではないかと危惧されています。


基調講演4

上図は「物流の2024年問題」について簡単にまとめたものです。
「物流の2024年問題」というのは、今年度からトラックドライバーの時間外労働に上限規制が設けられたというもので、そのこと自体は良いことではありますが、一方で何も対策をしなかった場合には「ものが運べなくなる」という事態に陥る可能性もあります。実際に、2019年と比較して最大で約14%の輸送能力不足が発生するという試算が出ており、2030年にはさらにものが運べなくなる事態へと発展するのではないかと懸念されています。そのため、いかに物流の効率化を促し、こうした事態を防いでいくのかということが現在の政府に課せられた課題となっています。

政府の動きや取り組みについて

このような中で、政府においても閣僚レベルで物流問題の改善に向けた動きを進めています。「抜本的、総合的な対応が必要だ」という総理の発言を受けて、2023年6月には「物流革新に向けた政策パッケージ」を決定し、各省庁、政府全体で取り組むべき政策の方向性をまとめました。


基調講演5

本政策パッケージの大きな方針は三つあり、一つ目は「商慣行の見直し」、二つ目が「物流の効率化」、三つ目が「荷主・消費者の行動変容」を促すというものです。
経済産業省では、物流に対し大きな影響力を持つ荷主企業を所管する立場として、荷主企業に対し設備投資や商慣行の見直し等に対応するよう働きかけています。「物流の効率化」に関しては、荷待ちや荷役時間の削減に向けた「設備投資の促進」を方針として示しています。また「荷主・消費者の行動変容」については、経営者層の物流問題に対する意識改革を促すため、役員クラスに物流管理の責任者を配置するよう義務付けています。 さらに、「物流の2024年問題」への対応を加速するため、荷主や物流事業者が早急に取り組むべき事項をまとめた「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を策定しました。

ガイドラインに沿った「自主行動計画」の作成について


基調講演6

「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」では、発荷主・着荷主事業者・物流事業者に向け、荷待ち時間の削減やリードタイムの延長など、物流の適正化や生産性向上への具体的な取り組みを示しています。また、ガイドラインに沿った「自主行動計画」の作成、公表を求めています。


基調講演7

上図はガイドラインの概要をまとめたものですが、注目すべき点は「荷待ち・荷役作業等時間の2時間以内ルール」となります。現状では、荷待ち・荷役作業に平均3時間ほどかかっていますが、これを1時間以上短縮し2時間以内とすることで、トラックドライバーの負担軽減につながると考えられます。
また、自主行動計画の策定状況は経済産業省のホームページでも公開しており、すでに多くの団体・事業者が自主行動計画の策定を行っています。各業界の団体の方からは「自主行動計画の策定により物流課題に対する社内での議論が進んだ」というお話を伺うこともあり、物流改善に向けた動きの一つのきっかけになっていると感じています。

「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」について


基調講演8
基調講演9

本改正法は事業者全体で物流の効率化を目指すことを目的としており、荷主・物流事業者が取り組むべき措置について努力義務を課す内容となっています。なお、判断基準の策定については今後政府内で関係省庁と連携しながら議論を進めていく予定です。

概要をみると、「荷主・物流事業者に対する規制的措置」の特定事業者に関する項目では、一定規模以上の事業者を特定事業者に指定し、その事業者に中長期計画の作成や定期報告等を義務付ける内容となっています。また、この特定事業者のうち荷主企業に対しては物流統括管理者の選任も義務付けられています。「トラック事業者の取引に対する規制的措置」では、多重下請け構造があることを踏まえて、元請事業者に対し実運送体制管理簿の作成などを命じ、実輸送を担う人々の動きをしっかりと捉えるよう義務を課しています。
荷待ち・荷役作業時間の短縮、積載率の向上については、荷主企業が取り組むべき措置として最も重要とされており、具体的な取り組みが求められています。

荷主企業に求められる物流効率化に向けた取り組み

繰り返しとなりますが、「物流の2024年問題」に対して荷主企業は荷待ち・荷役作業時間の短縮と積載率の向上にしっかりと貢献していくことが重要となります。


基調講演11

具体的な取り組みとしては、まずパレット化による、非効率なバラ積み・バラ降ろしの商慣行をなくすということが挙げられます。また、バース予約システムなどデジタルのシステムを活用することで無駄な待ち時間をなくすよう取り組む必要があります。


基調講演10

さらに、中長期的な観点では、共同輸送の推進を加速させる必要があります。積載率が非常に低い水準にある中で、異業種間の混載やマッチングサービスの活用など、積載率向上に向けた取り組みが求められるでしょう。


基調講演12

最後に、2023年10月に公表された「物流革新緊急パッケージ」について簡単にご紹介します。物流政策パッケージと非常に似たものとなりますが、こちらの中でも「即効性のある設備投資・物流DXの推進」が重要であると示されています。また、これを受けて物流の効率化を支援する補正予算の成立や補助金等制度も整備されています。

さいごに

当記事では、経済産業省 大西様よりご解説いただいた、物流政策パッケージ等の最新情報とポイントについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
後日、本セミナーのパネルディスカッション 「物流革新に向けた政策パッケージに関する現状と今後の展望」をまとめたセミナーレポート後編も下記からご覧いただけます、そちらもぜひご覧ください。

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