フィールドサービスの入り口となる訪問計画の作成は、その後の業務に影響を与える重要なプロセスとされており、近年では効率化に向けた取り組みを進める企業も増えています。当記事では、フィールドサービスにおける訪問計画作成業務の課題とともに、煩雑な予約調整と計画作成を大幅に効率化する「訪問計画最適化システム」について紹介します。
フィールドサービスとは
フィールドサービスとは、主に製品の設置や修理、点検など現地に赴いて実施する作業や、訪問介護、出張買取など顧客のもとに訪問して提供するサービスのことを指します。
これまで、フィールドサービスは製品そのものの価値を維持する役割に重きが置かれてきましたが、近年ではさらに、顧客との関係強化につながる有力なタッチポイントであるという認識が広がっています。顧客の要望する機能の追加や現地での設備の導入支援など、顧客の課題解決をサポートすることもフィールドサービスの新たな役割として求められており、今後の顧客ニーズのさらなる多様化に向け、フィールドサービスの各プロセスにおける業務効率化が必要とされています。なかでも、フィールドサービスの入り口となる予約調整・訪問計画作成業務については、その後の作業工程に大きく影響するものであり、フィールドサービス業務全体の円滑化を図る上で重要なプロセスであると考えられています。
フィールドサービス業界における、訪問計画作成業務の課題
前述のとおり、フィールドサービスの業務を円滑に行うためには、訪問計画を適切に作成することが重要であるといえます。以下では、訪問計画作成業務に生じる3つの課題について解説していきます。
1.複雑なスケジュール調整
フィールドサービスの訪問計画では、顧客の希望条件と既存スケジュールの空き状況、他の訪問先との位置関係やスタッフの稼働状況など非常に多くの条件を考慮する必要があり、その煩雑さに課題を抱える企業も少なくありません。また、近年では、HP・電話・SNSなど複数のチャネルをフィールドサービスの依頼窓口とするケースも多く、スケジュール調整がより複雑化することで、訪問計画作成業務の負荷はますます高まっています。
遅刻や早着による顧客満足度の低下につながることも
フィールドサービスは、一人のスタッフが一日に複数の訪問先で作業を行うケースも多く、適切でないスケジュールに沿って作業を進めた場合、訪問先への遅刻や早着など顧客満足度の低下につながる事態が生じる可能性もあります。こうした事態を避けるためにも、適切な訪問計画の作成を効率的に行うことができるよう、仕組み作りをすることが重要となります。
2.スタッフのスキルマッチングが困難
フィールドサービスにおける顧客の依頼内容は多種多様なものであり、円滑に業務を行うためにはそれぞれの依頼に適したスキルや経験を持つスタッフを選定することが重要となります。しかし、一般的に、顧客からフィールドサービスの依頼を受けスケジュールの調整を行うセクションはコールセンターや営業担当者など、フィールドサービスを実際に行う部門とは異なるケースも多いため、個々のスタッフのスキルや適性、スケジュールをリアルタイムで把握することが難しく、依頼に対して迅速な対応をとりにくいという問題があります。
3.情報共有が不十分であることによる、対応スピードの低下や業務の属人化
フィールドサービスにおいて、情報の円滑な共有は、顧客依頼に対するレスポンススピードやサービス品質の向上のためにも必要不可欠なものであるといえます。情報共有の仕組みが不十分な場合、訪問計画を作成する際に既存のスケジュールやスタッフの稼働状況などを正確に確認することが難しく、適切な対応ができなかったり、予約の重複などスケジュールの再調整が必要となる事態につながる可能性もあります。
また、顧客のもとで作業をするフィールドサービスの特性上、顧客情報や作業ノウハウの共有が円滑に進まない場合、特定のスタッフに業務が属人化するリスクもあります。属人化が進むと、他のスタッフが対応にあたれずサービスの提供スピードが低下したり、ベテランスタッフが離職した際にスムーズに作業を進めることができなくなったりと、多くの問題につながることが考えられます。このような事態を防ぐためにも、作業の記録方法の統一やノウハウのデータベース化など、情報共有の円滑化に向けた仕組み作りが重要であるといえるでしょう。
フィールドサービス向けの訪問計画最適化システム「Loogia 訪問予約」
フィールドサービスの最適な訪問計画作成と業務効率化には、システムの活用が非常に有効な手段であるといえます。
弊社では、最適で高精度な訪問計画の作成を実現するクラウドシステム「Loogia 訪問予約」を提供しており、特許技術による「訪問先に遅れない・早く着きすぎない」最適な訪問計画の作成が可能となります。製品の設置や納品、アフターサービスなどを行うフィールドサービス業界の企業様はもとより、出張買取やハウスクリーニング、訪問診療など、お客様との日程調整が発生し実際に訪問する必要がある、さまざまな業種の企業様にもご活用いただけます。
「Loogia 訪問予約」の概要
「Loogia 訪問予約」は、顧客の希望日時や住所情報などの依頼条件と訪問スタッフのシフトやスキルなどの各種条件をもとに、「いつ・どこに・誰が訪問するか」をAIによって最適化するシステムです。煩雑な訪問計画の作成作業をAIにより半⾃動化することで、調整業務の大幅な負荷軽減が可能となります。また、顧客依頼への対応が迅速化することで、顧客満足度の向上、受注件数の拡⼤、受注単価の上昇などが期待できます。
「Loogia 訪問予約」は、SaaSによる提供のため導入コストを抑えることができます。また、社内に既存のシステムがある場合や一部の機能のみ利用したいという場合には、API連携もご利用いただけます。
従来の訪問計画と「Loogia 訪問予約」の違い
従来の訪問計画では、複数チャネルの予約情報が連携しておらず、それぞれのチャネルごとに予約のとりまとめや調整、仮予約が行われる場合も少なくありません。しかし、予約を受け付ける段階では訪問スタッフのスキルなどを正確に確認することが難しく、依頼内容に適した人員配置を行うことができず、後から何度も調整が必要となるケースもあります。また、そもそも、顧客の予約画面上に表示される空き状況と実際の空き状況とが一致しておらず、営業所や訪問スタッフに情報が伝わってから、再度顧客への連絡や予約の再調整を行う場合もあります。このように、従来の訪問計画では最終的な予約確定まで多くの時間や労力を必要とするケースも多く、他の業務時間の圧迫や顧客満足度の低下につながることが懸念されています。
一方、「Loogia 訪問予約」では、予約調整に必要な情報を事前登録することで、顧客希望や訪問スタッフのシフトやスキル、前後の移動時間なども加味した最適な候補枠を「即座に」自動提案することが可能です。複数チャネルの予約に対しても一括管理が可能であり、リアルタイムでの情報共有もできるため、伝達ミスや予約の重複などスケジュールの再調整につながる事態を防ぐことができ、レスポンススピードの向上や調整業務の負荷軽減を実現できます。
「Loogia 訪問予約」でできること
前述のとおり、第一に、「Loogia 訪問予約」では顧客の希望に対し、最適な候補枠を即座に回答することができます。希望の日時や条件などを入力することで、訪問スタッフの情報や前後の訪問先からの移動時間など、複数の複雑な条件を考慮した計算が自動的に行われ、希望時間での予約が可能かどうか「即座に」顧客へ提示することができます。
また、提示した候補枠はスタッフのシフトやスキルなども加味したものとなるため、実際の現場においてもスムーズな作業の遂行が可能となります。
さらに「Loogia 訪問予約」では、特許技術の活用により、通勤時間帯など混雑する時間帯の走行速度も考慮した正確な計算が行われるため、「訪問先に遅れない・早く着きすぎない」最適な訪問計画を作成することができます。
ほかにも、リアルタイムでの調整状況の確認や、訪問履歴・売上など顧客に紐づく情報の一元管理、動態管理による訪問状況の可視化やデータ分析なども行うことができ、ペーパーレス化や管理工数の削減も実現できます。また、スマートフォン専用アプリを活用することで訪問スタッフが予定の確認や作業完了報告を円滑に行うこともでき、訪問計画作成業務のみならず、サービスの提供に関わる業務全体の効率化が可能となります。
弊社の独自技術を活用
「Loogia 訪問予約」が可能とする、複雑な条件を加味した高精度な訪問計画の作成は、弊社の独自技術を活用することで実現しています。
「Loogia 訪問予約」は「ビックデータ解析」と「組合せ最適化アルゴリズム」という2つの特徴を有しており、調整業務を煩雑にしているさまざまなスキルや現場条件を考慮した「ズレない計画」を瞬時に作成することができます。膨大な組み合わせの中から最適解を導き出す「組合せ最適化」技術を活用したアルゴリズムと、日本全国数十万台の車両走行データを解析した独自のデータベースを組み合わせることで、最適な順番と2点間の移動時間を正確に算出することができ、「訪問先に遅れない・早く着きすぎない」訪問計画の作成が可能となります。この走行可能速度を正確に計算する仕組みは、弊社の特許技術「道路走行可能速度推定プログラム」を活用しているため、他の訪問予約管理システムにはない、弊社独自の強みとなっています。
「Loogia 訪問予約」の活用事例
ここでは、厨房機器メーカーと出張買取サービスの2つの企業を例として「Loogia 訪問予約」で実現できる効果について紹介します。
厨房機器メーカーの事例
厨房機器メーカーのように、製品の納品や設置のために日程調整や実際に訪問しての作業が必要となる企業の場合には、顧客である納品先と工事を委託する企業双方の希望に沿った日程調整が必要となるケースも多くあります。作業スタッフのスキルマッチングや前後の訪問先との位置関係、現場での作業時間などを考慮しての計画作成は複雑なものであり、訪問計画作成業務の属人化を懸念する企業も少なくありません。
そこで「Loogia 訪問予約」を活用することで、まず、複雑な条件を加味した訪問日程の最適枠を即座に確認できるようになりました。納品先、委託企業双方の希望日程や作業スタッフのスキル、前後の訪問先の位置関係などを考慮した訪問計画の作成が誰でもできるようになったため、懸念されていた訪問計画作成業務の属人化解消にもつながりました。調整にかかる時間が短くなることで顧客への対応時間を多く取ることができるようになり、作業スタッフの稼働効率も向上しました。ほかにも、発注書などの書類のやり取りが「Loogia 訪問予約」内で完結することで、社内のペーパーレス化を実現しました。
出張買取サービスの事例
出張買取サービスでは、買取商材によって必要とされる訪問スタッフのスキルが異なるため、スタッフのスキルマッチングと訪問効率を考慮した計画の作成が困難であり、一度予約を受け付けた後で再度訪問スタッフによりスケジュールの再調整を行うケースも少なくありません。日程が確定するまでのリードタイムが長引くと失注へつながるリスクも高くなるため、顧客との日程調整に多くの時間を割く必要があり、訪問計画作成の業務負荷は高くなっています。
そこで「Loogia 訪問予約」を活用することで、訪問日程が確定するまでのリードタイムを大幅に短縮することができ、受注率の向上やこれまで訪問計画に費やしていた時間やコストの大幅な削減が可能となりました。また、AIを活用した訪問計画作成により訪問効率が向上し、スタッフの稼働効率も上昇しました。ほかにも、各案件の一元管理が可能となったことで、処理漏れや依頼事項の伝達ミスなどのトラブルを防ぐことができ、顧客からのクレームリスクの低減にもつながりました。
まとめ
当記事では、フィールドサービスにおける訪問計画作成業務の課題とともに、煩雑な予約調整や計画作成業務を効率化する「訪問計画最適化システム」について紹介しました。
近年、フィールドサービスは顧客との関係強化につながるタッチポイントとしての役割が期待されており、今後ますますその重要性は高まると考えられます。フィールドサービスの入り口である予約調整・訪問計画の作成業務は、その後の作業プロセスを円滑に進めるために欠かせないものであり、その効率化に向けた取り組みが求められています。フィールドサービスの訪問計画作成業務に特化したシステムの活用は、予約調整・訪問計画作成の作業効率を最大化する有効な手段であるといえます。
「Loogia 訪問予約」は、最適で高精度な訪問計画を実現するクラウドシステムです。考慮する条件が非常に多く、かつレスポンススピードが求められる、負荷の高いスケジュール調整業務をAIにより半自動化することで、誰でも簡単に最適な訪問計画の作成が可能となります。スケジュール調整時間を大幅に短縮し、顧客希望へのスピーディーな対応を可能とすることで、顧客満足度の向上、受注件数の拡大、受注単価の向上といった多くのメリットをもたらし、業務全体の効率化と売上向上に貢献いたします。
今後、さらなる機能拡充やサービスの進化も予定しておりますので、ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。