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暮らしに直結する物流課題「ラストワンマイル問題」を詳しく解説!

2024/08/08

ラストワンマイル問題トップ

コラム

物流業界の言葉であるラストワンマイル、みなさまはどのようなイメージをお持ちですか?日本郵便・ヤマト運輸・佐川急便など、生活で接する機会も多く身近な宅配事業者を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、物流におけるラストワンマイルの、特に宅配に関する解説に加え、ラストワンマイル物流が抱える課題と、課題解決に導く注目の新技術をご紹介します。

ラストワンマイルとは

ラストワンマイルとは、消費者が商品を受け取るまでの最後の配送区間のことです。
商品は、おおまかには「販売事業者」→「物流倉庫」→「営業所」→「消費者」の流れで運ばれます。その中でもラストワンマイルは「営業所」から「消費者」へ配送する、物流プロセスの最終段階を意味します。

例えば宅配であれば、荷物はまず各販売事業者から消費者の最寄りに位置する宅配事業者営業所に届けられ、その後、宅配業者が消費者のもとまで届けます。みなさんの近場にある宅配事業者の営業所からみなさんの手元に届くまでの道のりが、物流業界におけるラストワンマイルです。

LP_ラストワンマイルの問題1.2

大型車両を使って大量の荷物を運ぶ拠点や倉庫までの輸送とは異なり、ラストワンマイルでは軽貨物車両などを用いながら、少量の荷物を、近距離にある複数の場所に配送します。
EC需要の拡大に伴う宅配個数の増加などをうけ、ラストワンマイルの市場規模は拡大中です。
矢野経済研究所によると、2022年におけるラストワンマイルの市場規模は約2.9兆円です。2020年は2.5兆円、2025年の予測値は3.3兆円であることからも、右肩上がりに成長していることが分かります。


参考:​​​​ラストワンマイル物流市場に関する調査を実施(2023年) | ニュース・トピックス

ラストワンマイルの主な課題

ラストワンマイル 問題2

ドライバーの人手不足

ラストワンマイルの配達業務を担うトラックドライバーとは、どんな仕事なのでしょうか。
トラックドライバーの平均年収は、約431万円です。(全職業平均は約490万円)
また、1年の総労働時間は約2484時間です。(全職種平均は約2112時間)
もちろんトラックドライバーの仕事の価値は給与や労働時間だけでは測れません。
しかし、他業種より厳しい労働条件と言えるでしょう。厳しいイメージや継続することの大変さなどから、トラックドライバーは人手不足になりやすい職種であると考えられます。


参考:トラック|建設業・ドライバー・医師の時間外労働の上限規制 特設サイト はたらきかたススメ|厚生労働省

負荷の大きい翌日配送

ECサイトなどから商品を購入する際、翌日配送の選択肢は今や当たり前となっているかもしれません。消費者にとっては非常に便利なサービスですが、物流事業者には大きな負担がかかっています。
配送を行うまでには、仕分け作業などで一定の時間が必要になりますが、翌日配送に間に合わせるためには物流事業者側で深夜早朝の間に作業を行わなければならないケースもあり、物流事業者にとって翌日配送は人的負担とコストの負荷が重いサービスなのです。
最近では翌日配送サービスの見直しを進める企業も増えてきています。ヤマト運輸は2023年6月に翌日配送が可能なエリアを縮小しました。

交通渋滞による配送時間の増加

国土交通省のデータによると、日本の都市部では交通渋滞や信号待ちが多く発生しており、配送が非効率になっていると言えます。
一般道の全国平均旅行速度(※)が30.5km/hであるのに対し、東京都では19.4km/h、大阪府では22.0km/hとなっています。
都市部でEC需要が増え交通渋滞が発生する一方で、配送に関わる環境は改善されていません。
※旅行速度…「道のり」÷「時間」(交通渋滞や信号待ちによる停止を含む)で求まる「速さ」7時〜19時の時間帯平均で算出


参考:令和 3年度 全国道路・街路交通情勢調査一般交通量調査 集計表

ラストワンマイル問題に対する解決策

前項ではラストワンマイル物流の主な課題について取り上げました。
この項ではラストワンマイル問題の解決策を3つご紹介します。


LP_ラストワンマイルの問題3

ドローンなど新たな配送手段の開発

労働力が不足している現状に対して、ドローンや配送ロボットを開発・活用することで自動化・省人化を実現し、問題を解決しようとする動きがあります。2023年12月には、ドローンと配送ロボットの連携を確認することを目的とした「​​​​​​ドローンと配送ロボットを組み合わせ荷物を届ける実証実験」が千葉県で行われました。
実用化にはまだまだ時間がかかりますが、ドローンなどを用いた人手不足解消に向けたこのような取り組みが進められています。


参考:千葉市/ドローン宅配構想の最終課題「ラストマイル配送」実証 ─ 物流ニュースのLNEWS

​​受取方法の選択肢拡大

現在、再配達を減らす試みとして置き配や宅配ロッカーなど、対面でなくても荷物を受け取ることができる仕組みが広がっています。
日本政府は2024年10月から置き配などを選んだ利用者に、1配送あたり最大5円を国が補助するポイント還元事業を実施すると発表しています。物流業界の人手不足解消に向け、政府も消費者の行動変容促進に動き出しています。
最近では、駅やコンビ二などに設置されているオープン型の宅配ロッカー設置エリアが拡大しています。うまく活用することで、宅配ボックスがない住宅や置き配が心配な場合でも、荷物の受け取りが可能となります。


参考:置き配で最大5円のポイント還元、政府が10月から実施…アマゾンやヤマト運輸など6社が参加

配送ルート最適化やリアルタイム追跡システムの活用

ラストワンマイル配送では、渋滞などのトラブルにより計画通りの配送ができず、ズレが生じてしまうことがあります。そこで注目の解決策が、配送ルートを最適化する自動配車システムやリアルタイム追跡システムです。
配送ルートの最適化とは、複数の配送条件を考慮し「どの車両が、どの配送先を、どの順で」回ると効率が良いかを計算し、最適なルートを作成することをいいます。また、リアルタイム追跡システムを併せて活用することで、渋滞などのトラブルが発生した場合でも、遅延に対する迅速なリカバリー策を講じることが可能となります。

まとめ

今回は生活に直結する「ラストワンマイル問題」の課題や主な解決策についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

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