配送の効率化とは、車両の利用効率を高めることで、配送工程におけるパフォーマンスを最大化することをいいます。昨今の物流業界は、労働力不足や物流コストの高騰などさまざまな課題に直面しており、課題解決へ向け配送の効率化を図る企業も増えています。当記事では、配送の効率化についてその背景や具体的な取り組みなどを紹介します。
配送の効率化が求められる背景とは?
配送効率化の必要性は年々高まっており、単なるコスト削減の手段を超え、企業の競争力を高める重要な要素として注目されています。配送の効率化が求められる背景としては、主に以下の3つが挙げられます。
消費者ニーズの多様化
近年のEC市場の拡大により、宅配便の取扱個数は大幅に増加し、物流業務に従事する人々の負担も大きくなっています。また、消費者ニーズの多様化に伴い、即日配送や時間指定配送などきめ細かいサービスの提供を各社が競うようになったことで、配達時間の細分化など配送業務を担う現場への負荷もますます高まっています。こうした物流への負荷を軽減するためにも、配送プロセスの効率化は必要不可欠であると考えられています。
2024年問題による労働力不足
物流業界ではこれまでも、長時間労働による人材の業界離れや既存スタッフの高齢化などによる労働力不足が懸念されてきました。さらに、2024年4月の「働き方改革関連法」の施行により労働時間の上限が従来よりも厳しくなったことで、労働力不足はさらに深刻化するとされており、配送遅延やサービス品質の低下などにつながることが危惧されています。
実際に、2024年7月に株式会社帝国データバンクが公表した「人手不足倒産の動向調査(2024年上半期)」では、従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする「人手不足倒産」は2024年上半期(1-6月)に182件発生しており、その中でもいわゆる「2024年問題」の影響を受ける物流業では、前年同期(15件)と比較しても27件とほぼ倍増しており、バリューチェーン全体への影響が懸念されるとしています。
参考:株式会社帝国データバンク.“「人手不足倒産の動向調査(2024年上半期)」” 株式会社帝国データバンク 2024年7月4日https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240703.pdf(参照2024年8月21日)
このような中で、配送の効率化は配送業務の大幅な時間短縮や省人化を可能とし、労働力不足の問題緩和へとつながることが期待されています。
2024年問題についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
https://loogia.jp/news/logistics2024
物流コストの高騰
物流コストの高騰も、配送の効率化が求められる大きな要因の一つとなっています。近年では、燃料価格の上昇に加え、人件費や配送車両・設備の維持管理コストも増加しており、これらのコストを効率的に管理し、抑えることが企業の利益を守る上で極めて重要であるとされています。配送の効率化は、車両の走行時間や距離の短縮、配送業務に必要な車両台数の削減を可能とします。燃料費や人件費の抑制、車両管理コストの削減を実現することで、企業の競争力強化や利益の最大化へとつなげることが期待できます。
配送の効率化に向けた取り組み
配送の効率化に向けた主な取り組みとして、「システムを活用した配送ルートの最適化」「共同配送の推進」「物流業務のアウトソーシング」の3つを紹介します。
システムを活用した配送ルートの最適化
配送ルートの最適化は、配送の効率化を図る際に欠かせない取り組みの一つです。最適な配送ルートに基づき業務を行うことで、車両の走行距離や稼働時間が短縮され、燃料消費の低減やドライバーの労働時間短縮、車両台数の削減などが可能となります。燃料費や人件費、車両のメンテナンスコストなどが削減可能となることで、物流コストの大幅な軽減にもつながります。また、ルート作成に配車システムなどITシステムやツールを活用することで、短時間でさまざまな条件を考慮した配送ルートの作成が可能となり、さらなる配送効率の向上や生産性向上が期待できます。
アプリとの連携によりさらなる業務効率化が可能に
さらに、アプリと連携できるシステムを活用することで、配送プロセス全体の透明性と効率性のさらなる向上が期待できます。アプリの活用により、リアルタイムでのドライバーの位置確認や配送の進捗状況の管理などが容易となり、急な配送条件の変更やトラブルなどにも即時に対応が可能となります。また、アプリにより配送の記録がデジタル化されることで、配送実績の確認や業務日報の作成なども容易となり、配送に関わる業務全体の負荷軽減にもつながります。
共同配送の推進
共同配送とは、複数の企業の荷物を一つのトラックに混載し、同一ルートの配送先へと届ける配送方法のことをいいます。共同配送によりコンテナやトラックの積載率が向上することで効率の良い配送が可能となり、配送コストの削減へとつながります。また、労働時間の短縮や荷役作業の軽減などドライバーへの負荷が軽減されるだけでなく、稼働するトラックが減少することでCO2排出量の削減も可能となります。
2024年4月には、大手コンビニエンスストアの株式会社ファミリーマートと株式会社ローソンが、東北地方の一部地域において冷凍商品を対象とした共同輸送を開始しており、持続可能な供給体制の構築に向け、大手企業を中心に共同配送の取り組みが広がっています。
参考:株式会社ファミリーマート“ドライバー不足やCO2排出量削減など、物流課題への対応 ファミリーマート×ローソン、初の共同輸送 4月11日(木)から、東北地方の物流拠点間において開始” 2024年4月8日https://www.family.co.jp/company/news_releases/2024/20240408_01.html(参照2024年8月30日)
株式会社ローソン“ローソン×ファミリーマート、初の共同輸送” 2024年4月8日https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1485922_2504.html (参照2024年8月30日)
政府においても、物流改善の有効策の一つとして共同配送を勧めており、社会全体で共同配送を実現させようという動きが活発化しています。
物流業務のアウトソーシング
物流業務のアウトソーシングサービスを利用することも、効率化を図る際に有効な手段の一つであるといえます。物流のアウトソーシングとは、自社の物流業務を専門の外部業者に委託することをいい、在庫管理・倉庫運営・配送・返品処理など物流に関わるさまざまな業務を外部の専門企業に任せることで、人手不足やコスト面などの問題解決やサービス品質の向上などを図ることができます。
配送の効率化に活用できる補助金・助成金
物流効率化に向けた取り組みが各企業に求められる中、政府や地方自治体においても効率化に向けた取り組みを支援するため、各種補助金や助成制度の実施が進められています。こうした補助金等の制度の適切な活用は、新たな取り組みにかかる財政的な負荷の軽減だけでなく、自社の事業価値向上にもつながることが期待できます。配送の効率化に向けた取り組みを推進される際には、補助金や助成金などの制度の活用もあわせてご検討ください。
以下の記事では、政府や地方自治体等が実施する補助金・助成金について詳しく紹介しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
https://loogia.jp/news/subsidy/
まとめ
当記事では、配送の効率化が求められる背景や効率化に向けた具体的な取り組みについて解説しました。
さまざまな物流課題への対応が求められる中、各企業においては先進的なITシステムの活用や企業間連携を含めた効率化への取り組みが、持続可能なビジネスモデルを構築する上で必要不可欠であるといえるでしょう。
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