自社の業種に合った配車管理システムを選定するためには、比較すべき重要なポイントがあります。システムによっては得意とする業界も変わってきます。この記事では、配車管理システムの選定方法や比較ポイントについて解説します。
配車管理システムとは?
配車管理システムとは、効率のよい配送ルートの作成や状況に応じて最適な配車計画を作成する配車管理ツールです。配車管理システムを導入することで、それまで手作業で作成していた配車業務を大幅に効率化できます。
そのほか、配車業務で必要となる、以下のような条件を考慮した計画の作成をサポートしてくれます。
- 荷量と車両の積載容量
- ドライバーの勤務時間や配送先の時間指定
- 自社便・庸車・路線便の車両選択
- 車両コスト
配送情報の確定後、出荷までに十分な時間を設けることができません。したがって配車担当者は、短時間での配車計画の作成が求められますが、配車管理システムの導入によりこの課題の解消が可能となります。
また、荷揃いのタイミングや出荷バッチ・出荷バースなど、前後の業務との調整、変更やキャンセルに対しても柔軟に対応できるようになります。
配車管理システムの選び方、比較のポイント9選
配車業務は、企業によってさまざまな特徴があるため、配車管理システムを検討する際は自社に適したシステムを比較・選定する必要があります。
ここでは、配車管理システムを選定する上での比較する重要なポイントを紹介します。
①クラウド型
配車管理システムは、『オンプレミス型』と『クラウド型』に分かれます。
オンプレミス型とは、自社にサーバーを設置してシステムを運用する方法です。カスタマイズ性が高いため、自社に適したシステムを利用できるメリットがあります。
しかし、初期導入時にはサーバーを購入する必要があり、設置や設定なども必要なため大きなコストがかかります。また、保守費用やメンテナンスの手間もかかることがデメリットとしてあげられます。
クラウド型は、オンライン上のサーバーで提供されているシステムをインターネットを介して利用する方法です。SaaSとして提供され、自社にサーバーを設置する必要がないため導入時のコストが不要となり、メンテンナンスにかかる手間とコストもかかりません。
配送先や荷物、車両、ドライバーの情報や配車計画などのデータはクラウド上で保存されるため、インターネット環境とパソコンさえあれば、『いつでも』『どこからでも』データの編集・管理ができます。
また、サーバーやシステムの管理は提供するシステム会社が行います。そのため、最新のセキュリティ対策、最新バージョンのシステムの利用が可能なため、日本全国各地の道路や施設など、アップデートされた新しい地図情報をもとに、配送先の割り当てを行うことが可能です。
中小企業を中心とした多くの企業ではクラウド型の導入が進んでおり、配車管理システムの検討時には、クラウド型であるかが重要な検討材料となっています。
②配車計画の精度
配車管理システムの比較選定では、自社が求める精度の高い配車計画が作成可能かが重要です。
考慮すべき条件を満たしている、積載効率や配送効率が良い、現場の運用にしっかり配慮しているなど、企業の求める基準によって配車管理システムに必要な条件が異なりってきます。システムの比較選定時には、配車管理システムに求める条件について事前に優先順位を整理しておくことがポイントです。
例えば、配送先や荷物、車両、ドライバーなどの条件を満たした上で、車両の積載効率や、車両コスト・人件費に対して『効率の良い配車計画』ができるかなどに焦点を合わせます。
③配送ルート・配送時間の正確性
実際に現場で配送するドライバーにとって『使える』計画であることが重要です。配送先への遅延がなく、また、ドライバーにとっても無理のない配送計画であることが求められます。なぜなら、これらは配送ルート・配送時間に大きく影響するからです。
例えば、車両サイズによっては通行禁止の道路があります。この通行禁止の道路情報が配送ルートに反映されていない場合、ドライバーは迂回路を探さなければならず、大幅な遅れを招いてしまいます。
また、曜日や時間帯によって変化する道路の混雑状況が反映されているかも大きなポイントとなります。もし、これらの情報が反映されていない場合、ドライバーは道路情報や状況を考え、間に合うよう配送ルートを独自に考えなければなりません。
また、大きな交差点の右折やUターン運転を回避するといった、事故のリスクを抑えたルート設計や、特定のドライバーに負荷が偏らないよう、ドライバーの勤務時間や配送件数の均等化を考慮した計画を作成できるシステムもあります。
配車計画担当者だけではなく、ドライバーにとっても『使える』配車管理システムを選ぶことが重要です。
④使いやすさ(ユーザビリティ)
配車管理システムは、簡単に操作できる使いやすさ(ユーザビリティ)も非常に重要です。熟練の配車担当者でも、はじめて配車業務を行う新人の担当者にとっても直感的に操作できるデザインであるか、わかりやすい画面設計であるかがシステム選定のポイントとなります。
誰にでも操作が可能なシステムであれば、業務の標準化・効率化が実現でき、依存していた配車担当者の残業問題の解消や人件費の削減にもつながります。
システム導入の際は、展示会や商談時にデモ画面を確認するだけではなく、実際に使用する配車担当者やドライバーにも操作してもらい、操作性について問題がないかを確認することが望ましいです。
⑤ドライバーへの配送支援
配車管理システムには、ドライバーアプリを活用して配送業務を支援する機能もあります。
ドライバーアプリを使えば、タブレットやスマートフォンをナビゲーションとして活用でき、新人ドライバーが初めて配送する現場でも迷わずに配送業務を行えます。
また、ドライバーアプリに報告機能があれば、作業終了後にステータスを管理者へ通知することもできます。
⑥管理者による進捗・実績管理
管理者のパソコンからは、ドライバーアプリと連携して配送の進捗管理が可能です。車両ごとにリアルタイムの進捗状況を把握することで、急な変更やトラブルにも早期に対応できるようになります。
また、ドライバーアプリから配送実績を確認でき、業務日報作成の負荷軽減にもなります。
⑦料金体系
配車管理システムを検討する際、料金は比較する上で重要なポイントとなります。システムによって料金体系は異なるため、資料請求や問合せによって導入にかかる費用を比較します。
オンプレミス型であれば初期費用に大きくコストがかかります。一方、クラウド型は月額費用(サブスクリプション形式)の料金体系であることが一般的です。
クラウド型の月額費用は、アカウント数や車両台数、拠点数に応じた課金形式や、オプション機能やサポート費用などの基本料金以外に発生する料金について確認しておきましょう。
⑧サポート
システムのサポート内容もしっかり確認しておくことが重要です。既存の配車業務フローを変えずにそのまま導入できるケースは少ないため、システム導入の際は以下のステップに沿って確認していきましょう。
ステップ①|データ整備およびシステム上の効果検証
配車計画の作成に必要なデータの準備、システムに取り込むためのデータ整備などの配車管理システムを活用できるための環境を構築します。システム導入により期待する効果が得られるか、システム上で確認するフェーズです。
ステップ②|実環境への運用検証
システム化が可能な範囲を部分的に導入し、配車業務のフローを構築できるかを確認します。実際に使う配車担当者やドライバーがスムーズに操作できるか、現場運用で期待する効果が得られるのかを実証するフェーズです。
ステップ③|全社導入に向けた運用拡大
全社導入を目指し、配車担当者や現場のドライバーへの理解を得て、実際の業務に配車管理システムを活用していく運用フェーズです。
各ステップをクリアしていくためには、システムを運用に乗せるまでのサポートが必要です。特に、現場へ導入する際は従来の運用と変わるため、現場から反発が起こるケースもあります。スムーズな導入を行うためには、システム会社のサービスに導入サポートや運用サポートがあるかをよく確認しておきましょう。
⑨導入実績・得意領域
業界や配送物によって、配送計画は考慮するべき条件や業務フローが変わってきます。そのため、配車管理システムによって得意とする業界は異なってきます。導入実績や得意領域によって、配車計画で考慮できる条件や付属する機能も変わってくるため、あらかじめ確認することが重要です。
自社と同じ業界での実績があれば、業界特有の配車条件なども熟知しているため、導入サポートに関してもノウハウを持っているでしょう。ノウハウがなかったとしても、自社特有の配車条件をシステム会社へ伝えることで、似たような条件を持つ業界の実績やノウハウを応用できる可能性もあります。
まとめ
配車管理システムの選定・比較方法について解説しました。
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