物流におけるラストワンマイルとは、サプライチェーンの最終拠点から個人宅や店舗といったエンドユーザーまでの配送の最終区間のことをいいます。
つまり、顧客にモノが行きつく最終地点のことを指します。ラストワンマイル物流はあらゆる業種業態に存在し、物流の中でも属人化といった課題が集中している領域であり、大変注目を集めています。
この記事では物流におけるラストワンマイルの課題と、企業が取り組むべき解決策について解説します。
物流におけるラストワンマイルとは
ラストワンマイルにおける物流は顧客との最終的な接点ともいえるため、この区間のサービスの質が顧客満足度を大きく左右する、大変重要な領域であるといえるでしょう。
ラストワンマイル物流と聞いて「ネット通販で購入した商品を個人宅に届ける宅配便」を思い浮かべる人もいるでしょう。しかし、ラストワンマイル物流は宅配便だけでなく、あらゆる産業に存在しています。
例えば、LPガスやウォーターサーバーは、宅配便と同様に個人宅への配送を行っているのに加えて。店舗への配送も行っています。この店舗配送もラストワンマイル物流に含まれます。ラストワンマイル物流を行っている業種業態は、具体的には以下のようなものが該当します。
【ラストワンマイル物流が行われている業種業態一覧】
宅配宅食、店舗配送、LPガス、段ボール、食品酒類卸売、ウォーターサーバー、建設資材、鋼材、機器、検体等 |
近年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、人々のライフスタイルは多様化しネットショッピングが増加しました。それに伴うEC市場の拡大とともに宅配便取扱個数は急増し、ラストワンマイル物流はいまや人々の生活を支える社会インフラへと成長しました。
EC市場へと新規参入する事業者が年々増加する中で、送料無料や細かな時間指定、当日配送といった配送サービスの品質向上により競争力強化を図る事業者が増えています。それらのサービスを実現するためには、ラストワンマイル物流における業務効率化とコスト削減が不可欠となっています。
ラストワンマイル物流の課題とは
ラストワンマイル物流にはどのような課題があるのか紹介します。
①ドライバーの人手不足と高齢化
ラストワンマイルの配送現場は深刻な人手不足に陥っており、2027年には物流業界では24万人の不足が起こるといわれています。新たにドライバーになる人も減少しているため、ドライバーの高齢化にもつながっています。
その要因として、EC市場の拡大や当日配送といった配送サービスの質向上に伴い、小口配送が増えたことが挙げられます。一人当たりの配達物や再配達が増加し、また細かな時間指定や当日配送などの対応により配送効率が下がり、長時間労働などドライバーの負担が増えています。
そして、配送料無料のサービスがドライバーの待遇に影響し、これらの悪循環が新たな担い手の減少につながっています。
②再配達の増加
再配達への対応は長時間労働につながるなどドライバーの大きな負担となっており、人手不足の問題を顕在化させています。再配達率は約11%であり、ドライバー不足だけではなく、CO2排出量の増加などの重大な社会問題の一つにもなっています。
参考:令和4年4月の宅配便の再配達率は約11.7% - 国土交通省
解決には配送側の企業と消費者のコミュニケーション不足を解消するために、荷物状況の共有と時間指定の精度を上げることを目的としたシステム構築の必要性があります。リアルタイムで互いの状況を把握できるように可視化することが重要です。
また、宅配ボックスが不足しているエリアごとに追加で設置し、再配送を減らす取り組みが必要です。実際に、新型コロナウイルスの影響で在宅率の増加した影響もあるものの、宅配ボックスなどの普及により受け取り方の多様化が進み、都市部を中心に再配達は減少傾向にあります。
③配送の複雑化と、技術による高度化の遅れ
●非効率的な配車・配送業務による人件費の上昇
一日の配送先をどのドライバーがどういう順番で配送するかを割り振る配車業務や、ドライバーの配送業務が非効率的であると人件費が上昇します。
非効率な配車計画によって余分な車両台数やドライバーが発生したり、非効率な配送ルートによって走行距離が伸びてしまったりすることで、燃料費と人件費の上昇が起こります。
その他にも配車業務への配車係の負担が大きくなり、長時間労働につながるといった弊害もあります。
●属人的業務が多く、標準化に向けて取り組み方が分からない
アナログな配車・配送業務は、作業負荷、属人性、費用、環境負荷の面で多くの限界が来ており、物流業界の共通課題となっています。現状、配送現場では配車係が地図を使いながら手作業で配車計画を作成していることが多くなっています。
さらに配送業務では紙の不在票や紙地図を使っているために、再配達でドライバー同士が交替する際に情報の引継ぎにトラブルが起こるなどといった状況が改善されずにいます。現在は、属人的業務が多い現状を改善するためのシステムも出できています。
企業が取り組むべき解決策
ラストワンマイル物流の課題に対し、企業が取り組むべき解決策を紹介します。
①物流倉庫の作業効率化
物流倉庫の作業を効率化することで入出荷業務を改善することもいいでしょう。ラストワンマイルの手前の業務を効率化することでラストワンマイル物流の効率化にも期待ができます。
そうした業務改善の一例として、チェックや報告義務が挙げられます。従来の基幹システムではカバーできない、こうした細々とした作業をその場で完了できる業務アプリを活用することによってシステム化が可能となります。
②最新テクノロジーを活用し配送のあり方を変える
自動運転技術やAI、ドローンといった最新テクノロジーを活用して、人が関わるという配送のあり方を変える方法もあります。
例えば、ドローンは道路を利用せずに荷物を配送でき、交通量の多い都市部や配送ルートの確保に苦労する郊外で有効で、実用化に向けた動きがあります。
③共同配送の実現と一括納品拠点の構築
共同配送の実現と一括納品拠点の構築がラストワンマイル物流の課題の解決策として注目されています。共同配送とは、運送会社が連携し、届け先が共通の複数の事業者が出荷した商品を同じトラックやコンテナなどに積んで配送することを言います。
また、一括納品拠点とは、複数の業者の商品の発注窓口を一つにして、それらの商品をまとめて代行納品するための拠点のことを言います。発注作業が減るのに加えて、集中的な検品・納品作業ができ、車両台数を削減する効果も期待できます。
こうした共同化や集約化といった、同一エリアの配送業務を共同で行う動きを進めていくことで、一社単独で物流システムを運用するのに比べてコストを大きく削減できます。
④自動配車システムで配車計画や配送ルートを最適化
自動配車システムとは、物流センターから出荷された荷物をスムーズに配送先に届けられるように、配送に関わる情報を総合的に管理し様々なサポートを行うシステムです。
配車・配送管理では、適切な車両やドライバーの割り当てや、積載率や荷物の状況などを把握することが重要です。
自動配車システムを導入すると、最適な配車計画を自動で作成し、配送に関する情報をシステム上で管理することができるため、配送を円滑に行えるほかコスト削減にもつながります。
例えば、これまで配車係が手作業でやっていた配車業務や配送進捗管理をシステム上で行うことで、大幅な時間の短縮が実現できます。
さらに、配送計画や走行実績などの配送に関するデータが可視化され、配送に関わる業務を効率化できるため、物流コストを削減し生産性を向上させることが期待できます。
まとめ
これからのラストワンマイル物流に求められること
物流業界はいま、物流の担い手であるドライバーが不足する課題に直面しています。そしてそれは、ラストワンマイル物流においても例外ではありません。
さらに、宅配便取扱個数や再配達の増加、そして属人的でアナログな作業により業務効率が低く留まってしまっている、ラストワンマイル物流ならではの課題に対処しなければなりません。
こうした課題を効果的に解決に導くことが期待される自動配車システムを導入することで、業務効率化によるコスト削減を達成しさらなる企業の成長につなげましょう。
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