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物流の2024年問題とは?働き方改革関連法との関連、物流業界への影響と対策

2022/11/04

コラム

物流業界では、トラックドライバーの労働環境をはじめとする様々な課題を抱えています。働き方改革関連法の適用によって、労働環境の改善が行われようとしている一方で、物流に関わる企業にとって悩ましい問題になっています。それは「物流の2024年問題」と呼ばれ、昨今の物流業界のキーワードになっています。

この記事では「物流の2024年問題」について、働き方改革関連法との関係や物流業界への影響、企業がとるべき対策について詳しく解説します。

物流の2024年問題とは

物流の2024年問題とは、2024年4月からトラックドライバーに適用される時間外労働の制限によって物流業界で発生する諸問題を指しています。

働き方改革関連法の施行にあたり、一部の業種では時間外労働の上限規制の適用が猶予されていました。「自動車運転の業務」はその業種の1つに該当し、2024年4月から適用対象となります。それにより、トラックドライバーの時間外労働の上限は年960時間へ制限されます。しかし、多くの物流企業の平均残業時間がこの規制時間より超えているのが現状です。

さらに、2023年4月から中小企業に対する月60時間超の時間外労働の割増賃金率が25%から50%へ引き上げられ、トラックドライバーに支払う残業代が増加することになります。

物流業界では人材不足が慢性的な課題となっており、これまでトラックドライバーの長時間労働で補ってきましたが、これらの改正に伴い懸念される問題に対して、企業は早急に対策を講じて対応しなければいけません。

働き方改革関連法との関連性

働き方改革関連法の正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」です。子育てや介護など労働者の事情にあわせて多様な働き方ができるよう、長時間労働の抑制や雇用形態にとらわれない公正な待遇の確保を目的に、2018年7月に公布、2019年4月より順次施行されています。

以下2つについて解説します。

長時間労働の抑制

働き方改革関連法の目玉でもある時間外労働の上限規制は、月45時間・年間360時間を基本原則とし、2019年4月より大企業、続いて2020年4月1日より中小企業でも適用されています。

特定の業務や事業は上限規制の適用は2019年から5年間猶予されていましたが、トラックドライバーのほかに建設事業、医師などの一部の事業で、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されるようになります。

このほかにも、勤務時間インターバル制度(※)の導入や、年次有給休暇の取得義務、労働時間の客観的な把握といった、従業員の勤怠や休暇取得などが関わっています。

※勤務間インターバル制度とは、前日の仕事の終了時間と翌日の業務の開始時間との間に、一定の休息時間を確保するという制度です。

時間外労働に対する割増賃金の引上げ

働き方改革関連法では、さらに時間外労働に対する割増賃金の引き上げも含まれています。

月60時間を超える残業に対して割増賃金が従来の25%から50%へ引き上げとなり、大企業はすでに2019年から50%が適用されていましたが、中小企業でも2023年4月1日より同様の50%が適用されます。

トラックドライバーの60時間を超える残業に対して、これまでの2倍支払うことが必要となるため、労働時間の削減や生産性の向上はもちろん、運搬料の値上げも検討しなければならない物流企業もあるでしょう。

2024年問題が物流業界に与える影響

物流の2024年問題がトラックドライバーや企業に与える影響について紹介します。

トラックドライバーに与える影響

まずドライバーの収入に直接影響する可能性があります。60時間を超える残業代の割増率がこれまでの25%から50%に変わることで、時間外労働に対する人件費が増えるため、企業側としては残業時間の削減に取り組むようになることが予想されます。

当然のことながら、トラックドライバーにとって時間外手当が減るため、より条件の良い他社へ転職する可能性も出てきてしまいます。企業としては離職防止のために基本給を調整するなどして、残業が減った際の給与をあらかじめ確認し、場合によっては制度の再考も必要となってきます。

物流企業に与える影響

物流企業の売上は、トラックドライバーの業務量によって大きく左右されます。そのため、労働時間に制限がかけられることで、顧客から請け負える業務量が減少し、売上の減少に直接つながる可能性がでてきます。

売上の減少と人件費の増加により、物流企業の多くは利益が圧迫される大きなリスクを抱えることになるため、業務改善や生産性の向上に取り組むなどリスクを回避するための経営改善が必要となるでしょう。

荷主企業に与える影響

トラックドライバーの収入減や、自社の売上・利益減を防ぐため、物流企業は商品の運搬料でまかなおうとする動きが予想されます。荷主企業は物流企業から運搬料値上げの要請を受け、結果的に物流コストが増加することも考えられます。

また、トラックドライバーはこれまでのような長時間労働ができなくなるため、配送リソースが限られてしまうケースも発生してきます。トラックドライバーを確保しつつ、安定的な物流を維持していくためにも、物流企業が”快く引き受けたくなるような”物流体制の構築・維持が必要です。

つまり、物流企業が効率よく配送でき、売上をあげられるような体制が不可欠となります。荷待ちや荷役にかかる時間を削減するために、バース予約システムを導入したり、積載率の向上のために積み付け機能を搭載したシステムを導入するなど、物流企業に配慮した対応が荷主企業にも求められます。

2024年問題に対して企業が行うべき対策

労働時間の上限規制や残業代の割増賃金の引き上げが影響する物流の2024年問題に対し、企業が行うべき対策について紹介いたします。

トラックドライバーの働き方改革

トラックドライバーの時間外労働の上限や割増賃金の増加などに対応するためには、トラックドライバーの労働環境の改善が急務となります。

まずは労務管理が適切に行われるよう、トラックドライバーの勤怠状況を正確に把握できるようにする必要があります。労務管理は日報などアナログな方法で実施している企業もあれば、デジタコを導入して実施している企業もあり、その方法は企業によって様々です。

配送中の社外にいるトラックドライバーの勤怠を正確に把握することは困難であるため、就業規則に沿って適切な勤怠管理を行えるよう、勤怠システムを導入することもあるでしょう。トラックドライバーの労務管理を適切に行った上で、業務プロセスの見直しをはかり、労働時間の削減を行っていくことが重要です。

そのほかに、フレックス制や時短勤務などの多様な働き方ができる制度を導入したり、福利厚生を充実させるなど、トラックドライバーが働きやすい労働環境を整備することもポイントです。

また、残業時間削減による収入への影響に対して、人事評価制度や賃金制度の見直しも必要となってきます。自社で働くトラックドライバーが自分の評価や給与に納得できるような仕組みを構築することがポイントです。

働きやすい環境を整備することは、トラックドライバーの離職防止や、新たな人材確保にも有利に働くため必須の検討課題です。働き方改革を実行しトラックドライバー不足に陥るリスクを軽減していくことが、これからの物流業界において重要な施策といえるでしょう。

配送形態の改善や物流センターの新設

時間外労働の規制により、長時間の運転が必要となる長距離輸送では、1人のトラックドライバーがすべての業務を行うことが難しくなる可能性があります。

対策として、物流センター間の幹線輸送と物流センターから配送先までのラストワンマイル配送を分けて、別々のトラックドライバーが担当したり、複数のトラックドライバーによる中継輸送を行ったり、配送形態の見直しを図る方法があります。

一方で、中継輸送を行うためには、新たな物流センターの設置が必要となる場合もあります。加えて、トラックドライバーが1日に稼働できる時間が短縮されるため、おのずと全体の配送距離も短縮されてしまう懸念もあります。

これらを見越した物流全体の最適化を図ることが重要となってくるでしょう。

配送効率化・生産性向上のためのシステム活用

労働時間の削減には、業務効率化や生産性向上を図れるシステムやサービスを導入することも有効な手段です。上記のとおり、長時間労働の要因になっている荷待ち時間を削減するためにバース予約システムを導入したり、トラックの積載効率を向上するための積み付け機能を搭載したシステムを導入する企業が増えています。

トラックドライバーの業務効率化には、効率的な配送を行えるルートの選定や日報作成の簡易化があげられますが、自動配車システムの導入によって実現できます。

自動配車システムは、その日の配送情報から、各配送先に対しトラックドライバーを自動的に割り当てます。そして、各トラックドライバーの配送計画に対し、道路混雑や大型車両規制、配送先の制約条件を満たしたルートを自動で作成してくれます。

また、スマートフォンのアプリと連携して業務報告を行うことでその日の配送実績をデータ出力でき、運行日報を手間がかからずに作成できるようになります。さらに、1日の配送件数から必要最小限の車両台数やドライバーの人数を算出するため、配送効率の向上も可能です。

システム活用の企業事例はほかにも、国土交通省「物流DX導入事例集」に紹介されていますので、この機会に参考にされてみてはいかがでしょうか。

まとめ

物流の2024年問題は、トラックドライバーの労働時間の上限規制と残業代の割増賃金の引き上げによって発生する問題のことを指し、物流に関わるすべての企業において喫緊の課題となっています。

残業規制により限られたトラックドライバーのリソースで業務効率化と生産性向上に取り組み、物流に関わる企業がこの課題に対応するためには、システムを導入することも検討すべきではないでしょうか。

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