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物流クライシスとは?その原因と解決方法をわかりやすく解説

2023/01/29

コラム

物流クライシスとは?

物流クライシスとは、ドライバーの人手不足や高齢化、物流の非効率な業務や機械化の遅れによって起こる諸問題のことです。EC市場の成長による荷物取扱量の急増などの影響を受け、物流の需要量に対する供給量不足が増大することが懸念されています。

物流業界はこれまで荷主のさまざまなニーズに現場のドライバーが柔軟に対応し、そして多くのドライバーが長時間働くことで成長を続けてきました。そのため、荷主は自動化・標準化による業務効率向上への取り組みやオープンデータ・標準設備などに対する投資をする必要性が低い状態が続いてきていました。

すでに物流クライシスは10年ほど前から顕在化していると言われていります。これは、バブル崩壊後から徐々に下がり続けていた物流コストの割合が2015年を底値に上昇傾向に切り変わり、さらに2019年頃からは急上昇しているためです。

これに追い打ちをかけるように、物流業界には新たな逆風が吹いています。

2024年4月1日より自動車運転業務の時間外労働に年960時間の上限規制が適用されます。この時間外労働の制限によるドライバーの人材不足や対応コストの増大といった諸問題を、「物流の2024年問題」といいます。

関連記事:物流の2024年問題とは?働き方改革関連法との関連、物流業界への影響と対策

さらに2023年4月施行の働き方改革関連法により、これまで中小企業には適用が猶予されていた、月60時間を超える部分の時間外労働の割増賃金率が25%から50%へと引き上げられます。

こうした背景から、トラックドライバーの不足や物流需要に対する供給量の不足が増大すると予測されています

営業用貨物自動車の需給バランス
(出典:日本ロジスティクスシステム協会「ロジスティクスコンセプト2030」)

物流クライシスの原因

物流クライシスの最大の原因は、ドライバーの人手不足と高齢化が進んでいることです。

ロジスティクスシステム協会「ロジスティクスコンセプト2030」によると、トラックドライバーの数は 1995年の約98万人を頭打ちに減少傾向となっています。そして2030年時点の運転従業者数は約52万人と予測されており、 2015 年から約25万人減少する見込みです。

道路貨物運送業の運転従事者数の推移
(出典:日本ロジスティクスシステム協会「ロジスティクスコンセプト2030」)

物流分野での労働力不足は既に顕在化しており、ドライバー不足を実感している企業は増えています。

また、ドライバーは労働時間が長く業務負荷が大きいといった労働環境の悪さから、人材を確保するのが難しい状況です。そのため全産業に比べて、平均年齢が3~6歳程度高くなっています。

トラックドライバーの平均年齢の推移
(出典:2022年9月2日 経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」)

日本の生産年齢人口は中長期的に減少傾向にあるなかで、道路貨物運送業は65歳未満の就業者の割合が多い業種であるため、何らかの対策を取らないかぎり就業者が急速に減少していく恐れがあります。

このように運び手の供給が減少する一方で、EC市場の急成長により配送個数が激増し物流の需要が大きく伸びていることも、物流クライシスの原因の一つです。

ネットショッピングの利用世帯割合が2020年1月の45%弱から、2022年9月には55%近くまでに急上昇していることが、総務省の調査結果から判明しています。

ネットショッピング利用世帯の割合の推移
(出典:総務省統計局「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について」)

ネットショッピングの市場拡大に伴い、企業は価格に加え、小ロットかつスピーディな配送のニーズに応えるといった付加価値でも競い合わなくてはいけなくなりました。消費者ニーズによる多頻度小口配送への対応によって配達員の負担が重くなり、長時間労働につながっています。

物流クライシスによって起こりうること

公益社団法人全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業現状と課題2022」によると、トラック運送事業の営業収入は平成30年度で19.3兆円です。物流クライシスが進めば、2030年には35.9%の荷物が運べなくなり、営業収入は5.9兆円減少すると見込まれています。

関連記事:物流クライシスからの脱却・物流DX の実現に必要なドライバー作業の可視化

物流クライシスによって起こる問題は、運送事業者の売上減少だけには留まりません。従来運べていた荷物が運べなくなったりすることで、荷主企業にも及ぶほか、消費者の生活の利便性が低下することにもつながります。

さらに、物流クライシスによって、企業活動が停滞するなど国内産業の競争力が低下し、2030年時点で7.5兆〜10.2兆円の経済損失が生じる可能性があると言われています。

物流クライシスの解決方法

物流クライシスの主な原因である人手不足とEC市場の成長による配送数の急増を乗り越えるには、運送事業者や荷主企業など物流に関わる企業が一丸となって解決策を講じる必要があります。ここでは、物流クライシスの解決方法を紹介します。

配送料金の値上げ

配送料金の値上げによってドライバーの労働環境の改善や、それによる離職率の低下を期待できます。EC市場の伸張に伴う小口配送や再配達の増加といった消費者対応を巡る過度なサービス競争や、従業員の低賃金といった問題の解決に繋がります。

サービスの質の見直し

ドライバーの労働環境を改善する施策の一つとして、現状過剰になっている配送サービスの質を適切な水準に見直し、業務量を削減することも有効でしょう。

トラックの生産性向上

「翌日納品」や「納品時の都度検品」などの商慣行を見直すことが業務の効率化に効果的でしょう。翌日納品をする必要がない荷物は翌々日納品にすれば、トラックの積載率といった業務効率が向上するでしょう。

また、非効率的な納品時の都度検品は、デジタル技術の導入により検品レスにすることでトラックの実働率が上がります。

共同輸送

物流業界全体で協力し、共同輸送のスキームを作ることも解決策の一つです。現在、多くの荷主企業が物流の効率化や環境対策に取り組んでいます。自社のみで行える解決策はほとんど全て行ったという企業も多いでしょう。

輸配送の共同化により、低い積載率で各社が個別納品していたのが、高い積載率で一括納品できるようになります。また既存の枠組みに捉われず、共同モーダルシフトを含めた新たな共同輸送スキームづくりを検討する必要があります。

例えばヤマト運輸は、車両と幹線輸送を見直すことで輸送効率の向上を図りました。主要都市間の幹線輸送において「スパーフルトレーラ25」を導入し、2017年秋から運行を監視したところ、1回の輸送でドライバーは従来の約2倍の荷物を輸送できるようになりました。

物流 DX に関する近年の動き

物流クライシスの脱却に向けてはこれまで上げてきた課題の中でも、物流の生産性向上が切迫した問題です。この問題を解決するために、物流DXの取り組みが近年進んでいます。

ドローン配送

「空の産業革命」といわれるドローン物流が労働力不足や交通渋滞などの物流課題を解決に導くと期待が高まっています。ドローン配送の現状の課題は法律の規制と人材の問題です。

国土交通省への申請時には操縦者を確保する必要があります。しかし、一定時間以上のドローン飛行実績を有する人材は多くなく、人件費が障壁となっています。政府はドローン物流の普及に向けて、規制緩和と法整備に取り組んでいます。

トラックの後続車無人システム

後続車無人システムとは、ドライバーが運転する先頭車トラックが通信で連結された複数台の運転席無人のトラックを電子的に牽引する、隊列走行を実現するシステムのことです。

2021年2月に行われた実証実験では、約15kmにわたって、高速道路における後続車の運転席を無人とした状態でのトラックの後続車無人隊列走行が成功しています。まだ完全自動運転のレベルには至っていませんが、デジタル技術による先進的な取り組みとして注目を集めています。

倉庫の自動化・ロボット導入

無人でのフォークリフト操作や、電動式移動ラックの活用が進められています。この技術により保管・管理の自動化や省人化が進みます。また倉庫内の作業を見直すことで、移動距離の短縮もできます。

配車管理システムの導入

配車管理システムは物流センターから出荷された荷物が配送先に届くまで、配送に関わる情報を総合的に管理し効率的な配送業務をサポートします。

配車管理システムの導入により、配送コストの可視化・削減、配送効率の向上、配送関連の業務効率・生産性の向上が可能になります。

まとめ

目前に迫った物流クライシスから脱却するためには、物流DXの推進によって業務効率や生産性を向上させなければなりません。

例えば配車管理システムを導入すると、熟練ドライバーの経験や知見に頼ることが多いラストワンマイル配送において、暗黙知となってしまっている業務に必要な細かな情報を共有できます。それにより新人ドライバーでも熟練ドライバーに近い業務効率を発揮することができます。

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