ECの拡大により、荷物の小口化・多頻度化が進行し、ラストワンマイルの配送現場は深刻な人手不足に陥っています。そこで、配送業務を効率的に行うための配送計画作成は非常に重要になってきます。しかし、配送計画の最適化はかなり難しいと言われています。
この記事では、なぜそれが難しいと言われているのかをわかりやすく解説します。
配送計画とは
配送計画とは、配送センターなどから一般家庭や小売店などに物を配送する際に、「どの車両がどの訪問先をどのように回るのが良いか」を考え、より効率的なルートを策定した計画のことです。トラックの台数、ドライバーの人数、配送先の件数や分布など、多くの要素を考慮し、その中でコストを抑えて短時間で配送するため、最適なルートを作成することが必要です。
配送計画の最適化はなぜ難しい?
複数の車両が、1つの拠点から複数の配送先へ配送するとき、全ての車両の走行距離の総和が最小になるような配送ルートを求める問題を配送計画問題(Vehicle Routing Problem、 VRP)と言います。この問題は非常に難しい問題とされており、古くから様々な手法で研究されてきました。
長年にわたって研究され続けている配送計画問題は、何がそれほど難しいのでしょうか。
障壁は大きく2つあります。
1.配送パターンが膨大である
最適な配送ルートの解として考えられるパターンは膨大です。
例えば、わかりやすく1台で10件の配送先を回る順番を考えるだけでも、10の階乗で3,628,800通りもあることになります。
ここに車両台数や配送先が増えていくだけでも膨大なパターンが存在することがおわかりいただけると思います。
実際には、回る順番、直線距離だけでなく、道のりを考える必要があるため、そのパターンは無数にあると言えます。
2.考慮条件が多い
実際の配送現場でルートを考える際に考慮する条件は距離だけではありません。
システムによる配送計画最適化が進んでいる
非常に難しい配送計画の作成ですが、システムによって短時間で作成することが可能です。
システムにより、属人的な業務の改善や業務時間の削減などの効果を得ることができます。今の人手不足の環境下では、多くの企業にシステムの活用が求められているのではないでしょうか。
実際にどんな企業が導入しているのかご紹介します。
導入事例:日本郵便様
日本郵便は、配送業務効率化のために最適なルートを作成するアプリケーションを導入しています。
2020年6月から試験導入を始め、2020年10月までに約1000人のドライバーが利用しています。業務の効率化や品質向上に一定の成果を得られたとして対象を拡大し、現在では全国約500局で利用されています。
元々は紙に手書きで行き先を書いて、時間をかけてルートを作成していましたが、計画をする時間も配送にかかる時間も削減することに成功しました。また誰でもシステムでルート作成できることで、新人の方でもベテランと大差なく配送業務をこなすことができるような環境づくりが進んでいます。
参考情報:日本郵便、最適な配達ルートを伝えるスマホアプリを全国6000人の配達ドライバーに配布
導入事例:ローソン様
ローソンでは脱炭素社会の実現のため、物流網の効率化に取り組んでいます。
AIで作成した配送ダイヤグラムを使うことで、群馬県の配送センターから管轄エリアにある約400店舗に配送する際に、車両台数は約8%(4台)、二酸化炭素排出量も約7%(年間約100トン)の削減が期待できるとわかりました。
また配送状況をリアルタイムで確認することにより、運行状況を把握し、より確かな品質管理を行っています。
参考情報:脱炭素への取り組み
配送計画最適化システム導入のメリット
導入事例をご紹介しましたが、ではシステムを導入することでどんなメリットがあるのでしょうか。
配送計画作成業務の効率化
最適な配送計画をシステムが行うことで、今まで人手で行っていた業務の時間を削減することができます。
例えば配送先ごとの時間指定、車両指定など多くのことを考慮する必要があるため、1日中配車業務を行っている配車係の方もいるのではないでしょうか。システムであれば、条件の入力さえすれば短時間で条件を考慮しながらも最適な計画を作成してくれます。
属人的業務の解消
配送計画の作成業務は、配送業務の経験を積んだ人がその経験をもとに行うことが多く、属人的になりやすいです。長年培われた経験はまさに職人芸となっていることもあるでしょう。しかしシステムを利用すれば、必要情報を入力するだけで計画は自動作成してくれます。配車係の業務を事務員が代わりに行うこともできるかもしれません。
属人的になっている業務を標準化することで、配車係の働き方も改善されるでしょう。
配送コストの削減
最適なルートを作成することで配送時間が短縮されれば、残業時間を削減することが可能です。また残業時間だけでなく配送の人数、車両台数の削減もできるため、ガソリン代、車両の維持費の削減に繋がります。
ドライバーへの指示が効率化できる
配送計画の作成だけでなく、ドライバー向けのアプリやリアルタイムな車両位置管理もできるシステムもあります。作成した計画をドライバーにアプリを通して共有すれば、計画を即時に共有することができ、急な変更にも対応することができます。また位置情報が把握できていれば、トラブルなどによりカバーをする必要があった時に、誰に指示をすればいいかをすぐに判断することも可能です。
大なり小なり、システムの導入時は既存の業務に変更が発生します。自社にとってのメリットを把握しておくことは導入目的を明確化するためにも重要です。
配送計画最適化システムの導入をご検討される場合は、ぜひ自社にとって何がメリットなのかを考えてみましょう。
システム導入に成功している企業の共通点をまとめた記事も配信していますので、導入を不安に感じている方は下記の記事も併せてぜひご覧ください。
まとめ
この記事では、配送計画を最適化することの難しさとシステムの活用について解説しました。
弊社の提供する「自動配車システムLoogia」は、名古屋大学で研究されている世界最高水準の「組合せ最適化」という技術を用いて最適な配送計画を作成するサービスです。配送現場ならではの多くの制約を考慮し、短時間で効率的な配送ルートを作成することが可能です。
配送現場の人手不足などの課題を解決し、持続可能な社会の実現を目指しています。
Loogiaにご興味がある方はぜひ下記より資料をご覧ください。