配送ルート最適化とは？
配送ルート最適化とは、複数の配送条件を考慮し、「どの車両が、どの訪問先を、どの順で」回ると効率が良いかを計算し、最適なルートを作成することをいいます。
物流業において、配送ルートの作成は欠かせない業務の一つであり、配送順や経路により業務にかかる時間は大きく変化します。配送ルートの最適化は、ルート作成時間の短縮や作成業務の標準化はもちろん、ドライバーの稼働時間短縮やコスト軽減など、配送業務全体の効率化にもつながる重要な取り組みであるといえます。
従来のルート作成における課題を軽減
配送ルートの作成は、車両台数や時間指定など、非常に多くの複雑な条件を考慮しなければならず、従来のアナログ方式でのルート作成では、膨大な時間を費やして作業をする必要があります。また、ベテラン配車係の経験と直感によるところも大きく、業務の属人化や業務負担の偏りなどが懸念されてきました。さらに、従来のルート作成では、急な配送依頼への対応や突発的な道路状況の変化に対して、迅速かつ柔軟に対応することが困難であり、非効率な配送がドライバーの労働時間の増加や車両の過度な摩耗につながると懸念されています。
配送ルート最適化は、これらの従来のルート作成における課題を大幅に軽減すると期待されています。例えば、配送ルート最適化の取り組みとして、配車システムを導入することで、熟練した配車係でなくても短時間で最適なルートを作成することが可能となり、ルート作成業務の属人化解消や配車係の業務負荷軽減へとつながります。また、トラックの位置情報や運行状況をリアルタイムで把握する動態管理システムを活用すれば、緊急時にも迅速に効率的な配送ルートを指示することが可能となります。
このように、配送ルート最適化の取り組みを進めることで、従来のルート作成における課題を軽減し、配送業務全体の効率化につながると考えられています。
配送ルート最適化が求められる背景
物流業界はこれまでも、長時間労働による人材の業界離れや、既存スタッフの高齢化などによる深刻な労働力不足が懸念されてきました。近年では、 ECの普及による宅配需要の急速な拡大や、企業間物流における小ロット・多頻度輸送の増加により、トラックの積載効率が低下し、さらなる物流負荷の高まりが危惧されています。さらに、2024年4月の「働き方改革関連法」の施行により、ドライバーの時間外労働の上限規制がかかることで、さらに労働力不足が深刻化するといわれており、物流ネットワークを維持するための施策が急務となっています。こうした中で、物流の効率化に向け、現場の負担を減らし、適正な稼働時間で配送を行うためにも、配送ルート最適化の取り組みが必要とされています。
関連記事： 「物流の2024年問題とは？働き方改革関連法との関連、物流業界への影響と対策」
AIによる配送ルート最適化が広まっている
配送ルート最適化において、AI技術の活用は大きな役割を果たしています。
配送ルート最適化は、ただ走行距離を短くすれば良いというものではなく、配送先の時間指定、荷量、高速道路の利用可否など、さまざまな条件や制約を考慮する必要があります。AIを活用しデータの蓄積と分析や計算を行うことで、これらを加味した、より効率的なルートの作成が可能となります。さらに日々の学習により、分析・計算の精度が向上していくことも、AIの大きな魅力であるといえます。
また、ルート作成はPCが処理する中でも特に複雑な計算を行うため、これまでは高性能なPCが必要とされてきました。しかし、クラウド上のビッグデータを活用することで、一般的なパソコンやスマートフォンでも短時間でのルート作成が可能となりました。
日々頭を悩ませながら作成していた配送ルートを、AIを活用することで、短時間で作成することが可能となり、さらに、コスト削減、業務改善、人手不足の解消、CO2排出量削減などにも大きな効果をもたらしています。
グーグルマップとルート最適化サービスの違い
配送業務において、身近なツールであるグーグルマップを利用する方も多いのではないでしょうか。
地点登録による目的地リストの作成や、2点間の経路検索による移動距離や所要時間の確認など、ルート作成に活用する機会もあるかと思います。配送中に利用することで、リアルタイムでの交通状況や渋滞情報の確認を行うことができ、遅延を回避するためのルート再検索に活用することも可能です。また、グーグルマップのAPIサービスを利用すれば、複数の出発地や目的地を設定することも可能となり、車両の進行方向やウェイポイントの道路脇の情報を設定することで、到着予定時刻の精度を高めることもできます。
このように、グーグルマップには配送業務に役立つ機能も多く備わっていますが、現状の機能では、物流業界ならではの条件や制約を考慮してのルート作成は難しいともいわれています。物流業の配送では、さまざまな条件や制約を考慮し、複数の配送先や車両から最適な組み合わせを考え、配送ルートを決定しなければなりません。このような複雑な配送ルートの作成には、物流向けのシステムの活用が最適な手段であるといえます。
参考資料：Google.“Google Maps Platform Documentation | Routes API”. Google for Developers
配送ルート最適化のメリット
配送ルート最適化の取り組みには、配送効率をより良くするのはもちろん、他にもさまざまなメリットがあります。
コスト削減
配送にかかるコストは、車両コスト、燃料費、人件費が大半を占めています。
配送ルートの最適化は、配送条件を満たすのに必要な車両台数を明確にするため、車両台数の削減、それに伴う余分な車両コストの抑制が可能となります。また走行距離の短縮により、燃料費の削減やドライバーの労働時間短縮による人件費の抑制にもつながるでしょう。
さらに、配車システムなどのルート最適化サービスを活用し、有料道路の使用有無など細かな設定を行うことで、有料道路の利用料を含むコスト見直しにも役立ちます。
業務効率化と労働環境の改善
配送ルート最適化は、ルート作成の作業時間を短縮するだけでなく、最適なルートの走行により配送時間の削減も可能となり、業務全体の効率化へとつながります。
従来のルート作成では、複雑な条件を考慮しての作業に多くの時間を必要としていました。しかし配車システムなどルート最適化サービスを活用することで、作業を自動化することができ、短時間で効率的な配送計画の作成が可能となります。
また、ルート最適化による走行距離の短縮は、配送時間の削減・ドライバーの労働時間短縮につながります。ドライバーの長時間労働の抑制にもつながるため、時間外労働の規制に起因する2024年問題への対策としても有用です。配送業務の負担軽減は、ドライバーの定着率を向上させ、人手不足の緩和にもつながると期待されています。
顧客満足度の向上
ルート最適化はドライバーの業務負担軽減にもつながるため、疲労から発生する健康被害や事故を防止し、配送ミスや遅延の抑制、それに伴うサービス品質の向上が見込まれます。また、正確かつ迅速な配送が可能となることで、顧客満足度が向上し、リピート顧客獲得にもつながると期待できます。
この他にも、ルート作成業務の属人化解消や、走行距離の短縮に伴うCO2排出量の削減など、配送ルート最適化の取り組みを進めることで多くのメリットを得ることができます。
配送ルート最適化サービス「Loogia」で、高精度な配送ルートの作成が可能に
配送ルート最適化の取り組みを進めるためには、ルート最適化サービスの活用が有効な手段であるといえます。
弊社開発の配送ルート最適化サービス「Loogia（ルージア）」は、名古屋大学で研究されている世界最高水準の「組合せ最適化」という技術を自社独自で活用し、最適な配送ルートの作成を可能にするサービスです。2019年にサービス提供を開始し、現在では累計200社以上の導入実績があります。
Loogiaでは、特許技術を活用した高精度な経路探索により、他とは一線を画す、計画通りに走れる”ズレない”配送計画を実現しています。配送現場の方の声を第一に開発を進めており、Uターン禁止や左付け、配送件数の均等化など、現場で実際に必要とされている機能を備えたサービスとなっています。
配送ルートの最適化を進める上では、「画面上で効率的なルートを作る」のではなく、「配送現場で実際に活用できるルートの作成」が最も重要であるといえます。
Loogiaは、計画と実走の時間にほとんど差異が生じない、いわゆる”可走性”が高い配送ルートを作成することができ、配送ルート最適化の実現を可能にします。
弊社サービスの活用事例
実際にLoogiaを導入いただいた企業様の主な活用方法についてご紹介します。
最も主要な活用方法は「配送ルート最適化」に関するものです。具体的には、従来の手作業でのルート作成を、Loogiaの活用で効率化し、日々の作業時間の大幅な短縮を実現しています。ルート作成業務の標準化も可能となり、業務の属人化解消にもつながっています。また、常に効率的な配送を行えるよう、定期的な配送ルートの見直しや、配送条件の変化に伴うルート再編にLoogiaをご活用いただくケースも多くあります。
ほかにも、リアルタイムでの車両追跡による配送管理が可能となることで、イレギュラーな問題の発生に対しても柔軟な対応が可能となり、配送計画の大幅なズレ防止につながっています。また、委託配送を自社配送に移行できるかなど、新たな施策のシミュレーションにもLoogiaをご活用いただいています。
弊社HP「導入事例」でも、Loogiaの活用により配車・配送の課題を解決した企業様の事例をご紹介しております。こちらもぜひご覧ください。
まとめ
当記事では、配送ルート最適化の概要やメリット、弊社開発の配送ルート最適化サービス「Loogia」の活用事例についてご紹介しました。
現在の物流業界は、2024年問題をはじめとする多くの課題を抱えています。さまざまな物流課題への対応が急務となる今、配送ルートの最適化は他社の一歩先を行く重要な戦略となるといえるでしょう。
ぜひ配送ルート最適化に向け、AI技術を用いたルート最適化サービスの導入をご検討ください。
