配送業務の効率化はなぜ必要?
配送業務の効率化が求められる背景として、物流業界の長時間労働と労働力不足の問題が挙げられます。物流業界ではこれまでも、長時間労働による人材の業界離れや既存スタッフの高齢化などによる労働力不足が懸念されてきました。さらに、2024年4月の「働き方改革関連法」の施行により労働時間の上限が従来よりも厳しくなることで、労働力不足のさらなる深刻化が危惧されています。このような中で物流の停滞を回避すべく、2023年6月には政府により「物流革新に向けた政策パッケージ」が公表され、物流改善に向け荷主企業、物流事業者双方に取り組みの推進が求められています。
下記の記事「物流政策パッケージ実践ガイド レポート」では、物流業界の最新動向と物流政策パッケージの実践方法について解説しています。ぜひ一度ご覧ください。
https://loogia.jp/news/eventperot2/
このような中、配送業務の効率化はドライバーの長時間労働の改善や物流現場の負担軽減を可能とし、労働力不足の緩和につながると期待されています。配送業務の効率化を進める上では、お客様や企業からの集荷作業や荷物の仕分け作業、トラックへの積み込み・積み下ろし作業など配送に関連する業務との円滑な連携も重要となります。自社物流のグランドデザインを見据えた上で、配送業務のみならず配送に至るまでの各プロセスにおいても、時間、コスト、労力のムダを戦略的に取り除いていくことが求められます。こうした各プロセスにおける課題の可視化や改善に向けた取り組みの推進には、デジタル技術を用いたシステムの導入や自動化技術の活用が有効な手段であるといえるでしょう。
配送業務の効率化のための基本的な方法
配送業務の効率化には、配送プロセスのみならず、関連する「在庫管理」「倉庫内作業」のプロセスにおいても効率化を進める必要があり、それぞれの機能が円滑に連携することが重要となります。
下記の図では、各プロセスにおける業務効率化の基本的な方法とその効果についてまとめています。
在庫管理のプロセスでは「在庫管理の改善」を進めることが重要となります。適正な発注は商品の輸送を担う車両数の最適化にもつながるため、配送プロセスの効率化にも影響すると考えられます。次に、倉庫内作業のプロセスでは「倉庫内作業の自動化」が効率化の有効な手段であるといえます。自動化による倉庫内作業の時間短縮によりドライバーの荷待ち時間の減少、荷役作業へのマテハン機器等の活用によりドライバーの作業負荷軽減につながると期待できます。
配送業務効率化の要である配送プロセスにおいては、「配送ルートの最適化」を図ることが重要です。配送ルートの最適化とは、複数の配送条件を考慮した上で「どの車両が、どの訪問先を、どの順で回ると効率が良いのか」を計算し、最適な配送ルートを作成することをいいます。配送ルートの最適化はドライバーの稼働時間を短縮し、物流課題の一つである長時間労働の改善につながると期待されています。また、走行距離や車両台数の削減により燃料費や人件費等のコスト抑制も可能となります。さらに、CO2排出量の削減にもつながることから環境負荷低減の観点でも有用な手段であるとされています。
最後に、在庫管理、倉庫内作業、配送、すべてのプロセスにおいて有効な手段といえるのが「管理システムの導入」です。倉庫管理システム(WMS)や配送管理システム(TMS)といったIT技術を活用した管理システムを導入することで、業務プロセスの可視化や情報のスムーズな共有、データ分析による業務課題の特定や改善策の検討が容易となります。倉庫管理システムや配送管理システムの機能については、次項で詳しく解説します。
配送業務の効率化におすすめのシステム
前述のとおり、配送プロセスに関わる業務への管理システムの導入は配送業務の効率化に非常に有用な手段であるといえます。ここでは「倉庫管理システム(WMS)」「配送管理システム(TMS)」「顧客管理システム(CRM)」の3つのシステムについて詳しく解説していきます。
倉庫管理システム(WMS)
倉庫管理システムとは、倉庫内作業の精度向上・効率化を支援するシステムで、倉庫への商品の入出庫管理や在庫管理などの機能を搭載しています。主な機能としては以下の4つがあります。
1.入庫管理機能
入荷した商品の検品や所定の場所(ロケーション)へ保管する作業を支援します。WMSに入荷予定商品の情報を登録しておくことで、入荷時の商品や数量の確認、期限などの商品情報のチェックが容易となり、検品作業を円滑に進めることができます。また、WMSによりロケーション管理を行うことで入出庫のスピードアップにもつながります。
2.出庫管理機能
出荷の指示に従い、所定の場所から商品を取り出し、決められたルールにそって梱包・出荷ができるよう作業のサポートをします。WMSに出荷指示やピッキングリストを登録することで、データの表示を見ながら作業をスムーズに行うことができます。さらに、荷量に合わせた最適なピッキング方法の選定が可能となり、ピッキングミスの防止や作業効率の向上にもつながります。
3.在庫管理機能
「どの商品が、どの棚に、いくつ保管されているか」という基礎情報に加え、期限やロット情報、保存状態などの商品情報の一元管理が可能となります。入荷した日付順に出荷したい場合にも、システムによって入荷日の確認が容易となるため、スムーズに作業を進めることができます。また、近年のEC市場では配送スピードが重視される傾向にあり、倉庫内作業においてもさらなる作業の迅速化が求められています。こうした中で、WMSによる在庫管理はリアルタイムでの情報を倉庫内で常に共有することができるため、作業の効率化と生産性向上に役立つとされています。
4.進捗管理機能
WMSの導入により、作業の進捗をリアルタイムで把握することが可能となります。フロア別、作業チーム別、出荷先別などさまざまな切り口で情報を可視化し、端末を通して共有することができるため、進捗の遅れている作業に他部署から応援に行くなどの素早い対応も取りやすくなり、倉庫内全体の生産性向上につながります。
配送管理システム(TMS)
配送管理システムとは商品の出荷から届け先までの輸配送をトータルに管理するもので、配車計画や運行管理を支援するシステムを中心に構成されています。具体的な機能としては以下の4つとなります。
1.配車計画の最適化
TMSを活用し配車計画を作成することで、「どの車両が、どの配送先を、どの順に回ることが最も効率的であるか」を計算することができ、短時間で最適な配車計画の作成が可能となります。さらに、限られたスペースでいかに効率的に荷物を積載するのかを計算することができるため、積載率の最大化を図ることもできます。また、TMSの活用は配車業務の属人化解消につながると期待されています。配車計画の作成には多くの条件や制約を考慮する必要があり、非常に高いノウハウや経験が求められるため、これまでベテラン配車係の属人的な業務であることが懸念されてきました。しかし、TMSを活用し配車作業を行うことで、誰でも短時間で自動的に、効率的な配車計画を作成することが可能となります。
2.輸配送業務のリアルタイム管理
車載端末やスマートフォン、GPSとの連携により、車両の稼働状況やリアルタイムでの位置情報の把握が可能となります。輸配送状況の見える化により、渋滞などのトラブルへの対応が容易となるほか、顧客からの問い合わせや急な配送依頼への対応が迅速化することで顧客満足度の向上にもつながると期待できます。
3.日報や帳票の作成
発送指示書、納品伝票などの帳票作成が容易となります。ドライバーが帰着後に作成する運転日報や運行実績を自動で作成するシステムもあり、日報を作成する手間や時間の削減にもつながります。
4.車両情報やコストの管理
TMSの活用により、車検日やリース契約などの細かい車両の情報管理も容易となるほか、複雑な計算が必要な運賃計算も情報を入力するだけで簡単に計算ができるようになり、管理者の負担や手間の大幅な軽減につながります。また、配送にかかわるコストや各車両の様々な走行データを一元管理することで、無駄な部分の把握や改善策の検討が容易となり、コスト削減や最適化の取り組みに役立つとされています。
顧客管理システム(CRM)
顧客管理システムとは、顧客情報や行動履歴、顧客との関係性などの情報を管理し、顧客との良好な関係構築を支援するためのシステムで、顧客情報管理や配信機能、問い合わせ管理やデータ分析機能などが搭載されています。物流業界においても、システムを活用した顧客情報の管理が荷物の配送や問い合わせ対応などの円滑化に役立つと期待されています。顧客管理システムにはさまざまな機能が備わっていますが、なかでも配送業務の効率化に役立つとされる機能としては以下の2つが挙げられます。
1.顧客情報の一元管理
CRMを活用し、顧客情報や配送ステータス、問い合わせ内容などの情報をシステム上で一元管理することで、情報の散逸や重複、対応漏れなどを防ぐことができます。顧客との円滑なコミュニケーションが可能となることで顧客満足度の向上にもつながります。また、配送部門と営業部門の情報共有や連携が容易となることで顧客のニーズへの対応が迅速化し、受注率の向上などにもつながると期待できます。
2.顧客データの分析
CRMのデータ分析機能の活用により、過去の行動履歴や問い合わせ内容の確認、分析が容易となり、顧客のニーズや要望を正確かつ迅速に把握することが可能となります。また、顧客のフィードバックの収集や分析をスムーズに行うことができるため、サービス改善に向けた取り組みの推進にも役立ちます。
弊社システム「Loogia」を活用した、配送業務効率化の事例
弊社では、名古屋大学で研究されている世界最高水準の「組合せ最適化」という技術を用いて独自で開発した、最適な配送計画の作成を可能にする、自動配車システム「Loogia(ルージア)」を提供しております。Loogiaでは特許技術を活用した高精度な経路探索により、他とは一線を画す「計画通りに走れる”ズレない”配送計画」を実現しており、現在では累計200社以上の企業様への導入実績があります。
ここでは、配送業務効率化の事例として、弊社システム「Loogia」をご活用いただいた企業様の事例を2つご紹介します。
S社様(家具配送)の事例
S社様では社内全体でシステム化を進める動きがあり、まずは業務負荷の高い配車業務の自動化に取り組むことで、業務の属人化解消、配車計画の均一化を図りたいというご意向がありました。そこで、Loogiaを活用し配送ルートを作成することで、配車業務の属人化解消、配車計画作成時間の短縮や均一化が実現し、さらに配車計画の可視化により情報共有が円滑化するなど、管理者様の業務負荷軽減にもつながりました。
T社様(食品配送)の事例
T社様では以前より配送ルートの定期的な見直しが社内の課題としてあり、配車業務の属人化を解消し、定量的かつ効率的な改善ができる仕組みについて検討されていました。そこで、Loogiaを導入し配送ルート見直しのシミュレーションに活用することで、既存ルートの統廃合、最適化が実現。課題とされていたルート見直しと業務改善の仕組みづくりも実現し、車両数の削減による管理業務の負荷軽減や配送に関わる情報の管理適正化にもつながりました。
上記2社様の事例のほかにも、さまざまな企業様の活用事例を弊社HPにてご紹介しております。こちらもぜひご覧ください。
https://loogia.jp/cases/
まとめ
当記事では、配送業務の効率化に向けた基本的な方法やおすすめのシステム、弊社システムを活用した効率化の事例などについて紹介しました。
配送業務の効率化は、今後も続くとされる物流需要の増加や人手不足の深刻化に対応するためにも必要不可欠であるといえます。効率化を円滑に進めるためにも、自社の物流課題を明確化し、課題解決に適した方法やシステムの活用を検討していくことが重要であるといえるでしょう。
記事内でもご紹介しました、弊社開発の自動配車システム「Loogia(ルージア)」は配送現場ならではの多くの制約を考慮し、ドライバーに負担の少ない、効率的な配送計画を自動で作成することができます。また、属人化しがちな配車業務を標準化することができ、配車担当者の負担軽減も可能となります。Loogiaにご興味がある方はぜひ下記より資料をご覧ください。