
物流業務におけるシステム連携の有無は、業務の生産性に大きな影響を与えるものです。輸送・保管・荷役・包装・流通加工といった物流の各工程においてシステムを連携させることで効率的な情報共有や業務処理が可能となります。当記事では、物流業務におけるシステム連携について、メリットや活用例、連携のポイントなどを解説いたします。
なぜ、物流業界においてシステム連携が求められるのか
近年、物流業界におけるDXの必要性は高まっており、IoTやAIなどデジタル技術の活用により物流の自動化や業務効率化、労働環境の改善等を図る企業が増加しています。なかでも、輸配送管理システム、倉庫管理システム、在庫管理システムなど、物流業務の効率化に向けてITシステムを導入する動きが多くみられますが、複数の異なるシステムを利用する場合、システム間の連携の有無が業務の生産性に大きな影響を与えます。
システムの連携方法としては主にAPI連携、ファイル連携、データベース連携などがありますが、なかでも比較的コストが低く、リアルタイムでの情報共有が可能なAPI連携がシステム連携に有効な手段として注目されています。

API連携とは
API(Application Programming Interface)とは、アプリケーション同士をつなぐインターフェースのことを指します。このAPIを使用し、異なるアプリケーションやシステム間のデータを連携することで、機能の拡張を図ることを「API連携」といいます。
APIを活用することで、自社と他社システムとの連携や一部の機能を外部サービスから利用することも可能となります。単体では網羅しきれないアプリケーションやシステムの機能を他の力を借りて補完することができるため、システムの開発や拡張にかかるコストを抑えつつ利便性を大幅に向上させることができます。
物流業務におけるAPI連携の活用メリット
物流業務において、APIによるシステム連携は円滑な情報共有や業務処理に欠かせない重要なものです。ここでは、物流業務におけるAPI連携の活用メリットを3つご紹介いたします。
1. 業務の自動化による、人的ミスの削減と業務効率化
API連携により、異なるシステム間でのリアルタイムな情報共有が可能となることで、在庫管理や出荷指示、配送状況の確認など物流業務の一部を自動化することが可能となります。一日に大量の注文を処理しなければならない物流業務においては、一件ごとの処理スピードが全体の作業時間に大きく影響するため、API連携による業務処理の加速化は業務全体の大幅な効率化につながると考えられます。また、これまで人の手で行っていた業務を自動化することでヒューマンエラーの発生を抑えることができ、作業の手戻りが減少することで、さらなる業務効率化や生産性向上へとつながることも期待できます。
2. 開発コストの削減
通常、新たなシステムやサービスを構築する際はすべての機能をゼロから開発しなければならないため、莫大なコストが必要となります。しかし、API連携を活用すれば既存のシステムを大きく改修することなく必要な機能を追加することができるため、開発コストを大幅に削減することができます。また、システムの開発にかかる工程や時間も短縮されるため、開発プロセスの効率化にもつながります。
3. セキュリティの向上
システムの導入が円滑に進まず、指示書や帳簿などを紙媒体で管理している場合、情報の紛失や盗難、人的ミスによる情報漏洩などのリスクが生じる可能性も考えられます。また、たとえデータ化を行ったとしても、セキュリティ対策が不十分であった場合には、ウイルス感染や不正アクセスによるデータ流出の危険性が伴います。
その反面、APIを提供する企業ではサイバー攻撃や情報漏洩などのリスクに対し、強力なセキュリティ対策を講じているところがほとんどです。そのため、API連携によりデータをすべてシステム管理することで、セキュリティの向上へとつながることが期待できます。

物流業務におけるAPI連携の活用例
ここでは、物流業務におけるAPI連携の活用として「OMSとWMSの連携」「WMSとTMSの連携」「荷主企業と物流事業者のシステム連携」の3つを例としてご紹介いたします。
OMS(受注管理システム)とWMS(倉庫管理システム)の連携
OMSとWMSを連携することで、リアルタイムでの在庫情報の可視化が可能となります。WMSで在庫の変更を行うとその情報はOMSへと自動的に連携されるため、即座に正確な在庫状況を把握することができます。適切な在庫管理が可能となることで、欠品や過剰在庫などのリスクを避けることができ、収益性の向上やキャッシュフローの改善へとつながることが期待できます。
また、OMSとWMSを連携することで出荷効率の向上にも役立つと考えられます。OMSで注文を受け付けると、自動的にWMSで倉庫内の在庫状況を確認、出荷指示やピッキングリストの作成などが行われ、受注から出荷までのスムーズな対応が可能となります。
WMS(倉庫管理システム)とTMS(輸配送管理システム)の連携
WMSとTMSを連携することで、出荷指示から配送完了までの一連の業務プロセスを自動化することが可能となります。WMSで在庫引当や出荷指示を行うと、その情報はリアルタイムでTMSへと連携され、最適な配車や配送ルートの作成が自動的に行われます。また、商品の入庫から配送完了までのデータを一元管理することが可能となるため、業務効率化やコスト削減に向けた施策の策定にも役立つと期待できます。
荷主企業と物流事業者のシステム連携
荷主企業と物流事業者のシステム連携をすることで、業務の進捗状況をリアルタイムで共有することが可能となります。通常、両者間で出荷や配送の進捗状況を共有する場合には、電話やメールでやり取りをしなければならず、情報の確認や連絡に多くの手間や時間が必要となります。しかし、両者のシステムを連携することで、業務の進捗状況をリアルタイムで共有することが可能となるため、煩雑な情報伝達の手間を大幅に削減することができます。
また、情報の確認や共有が容易となることで、業務効率化やコミュニケーションの円滑化へとつながることも期待できます。
API連携を利用する際のポイントや注意点
物流システムの連携にAPIを利用する際のポイントや注意点として、以下の3つが挙げられます。
1. 既存システムの洗い出しと目的の明確化
API連携を進める際は、第一に既存システムの課題を洗い出し、連携の目的を明確にすることが必要となります。「既存のシステムに足りない機能はどのようなもので、自社開発が難しいものなのか」、「どのデータをやり取りしたいのか、そのためにはどのようなシステムに連携するのが良いのか」など十分に検討を重ね、データの種類やフォーマット、頻度など、自社に必要な条件をしっかりと認識することが重要となります。
2. 適切なセキュリティ対策
先にも述べたように、APIを提供する多くの企業では強力なセキュリティ対策が講じられていますが、近年ではAPIをサイバー攻撃の標的とする事態も発生しており、対策が不十分な場合には情報漏えいや不正アクセスなど重大なリスクが生じる可能性も考えられます。そのため、情報の暗号化やトークンの使用、アクセス権の定期的な見直し、ログ記録やモニタリングなど、より厳密なセキュリティ対策が必要となっており、API連携を利用する際にもこうしたセキュリティ対策が適切に行われているか十分に確認することが重要となります。
3. 従量課金によるコスト増大に注意
APIのなかには従量課金制により利用量に応じて請求額が変動するサービスもあるため、注意が必要です。利用量によっては想定以上のコストが発生する可能性もあるため、サービスの料金体系を十分に理解し、上限の設定や利用時にはこまめに使用量を確認するなど適切な管理を行うことが重要となります。
「Loogia」は複数のシステム連携にも柔軟に対応
弊社開発の「Loogia(ルージア)」は、拡張機能の活用により複数のシステムを連携することが可能です。必要となるデータを各種システムから連携した最適な配車計画の作成を可能とすることで業務効率化を目指す企業様をご支援いたします。
「既存システムとうまく連携ができない」「システム化を推進しようとしたが要件を満たすことができなかった」といったご経験がある場合にも、ぜひ一度お問い合わせください。在庫管理システム、倉庫管理システム、顧客管理システムなど、さまざまな物流システムとの連携実績がございます。
下記の記事では、API連携、ファイル連携、データベース連携などさまざまな手法により、Loogiaの各プロダクトとのシームレスな連携を実現する「Loogia コネクト」について詳しく紹介しております。こちらもぜひご覧ください。
「データ化でお悩み中の方必見 配車システム導入の壁と解決方法を大公開」https://loogia.jp/column/loogiasolution1/
まとめ
当記事では、物流業務におけるシステム連携について、API連携のメリットや活用例、利用する際のポイントなど、弊社サービスの紹介を含めて解説いたしました。
API連携は、物流業務において円滑な情報共有と業務処理を可能とする重要な鍵であるといえます。自社の課題解消に向けて、API連携の活用をぜひご検討ください。
弊社では持続可能な物流の実現に向け、輸配送最適化ソリューションの提供を通して、より多くのお客様の業務効率化を支援したいと考えております。これまでシステム連携の難しさから導入を断念されていた企業様も、ぜひ一度お問い合わせください。