スマート物流とは?推進のメリット・デメリットや課題について詳しく解説!

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近年、物流業界では人手不足の深刻化やサプライチェーンの複雑化などさまざまな課題に直面しており、このような課題を解決する鍵として「スマート物流」が注目されています。当記事では、スマート物流の概要やメリット・デメリット、スマート物流を推進する上での課題等についてご紹介いたします。

スマート物流とは

スマート物流とは、IoTやAI、ロボティクスなど最新のIT技術を活用し、物流プロセス全体を効率化・最適化することを指します。具体的には、IoTを活用したリアルタイムでのデータ収集や在庫管理、AIを活用した配送ルートの最適化や需要予測、またドローンや自動運転車両を活用した配送の自動化などが挙げられます。スマート物流を進めることで、物流の効率性が飛躍的に向上し、物流業界の課題となっている長時間労働の削減や人手不足の解消、コスト削減、さらにはサプライチェーン全体の最適化にもつながると期待されています。

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スマート物流を支える技術

スマート物流は、IoT、AI、ロボティクス、ブロックチェーンなど、さまざまな先端技術によって支えられています。

IoT

IoTとは、「Internet of Things (モノのインターネット)」の略称で、さまざまな「モノ」がインターネットを通じて相互に情報をやり取りする技術や仕組みのことを指します。物流においては、特に冷蔵・冷凍輸送に有効な技術として活用されています。例えば、RFIDタグや温湿度センサーなどを使用することで、リアルタイムに輸送中の温度や湿度を監視することができ、温度管理が重要となる食品や医薬品の品質確保に役立っています。また、IoTは在庫管理にも非常に有用であり、商品の位置情報や数量などをリアルタイムで把握することができるため、在庫管理の精度が大幅に向上し、過剰在庫の削減や欠品の防止にもつながっています。

AI

AIもスマート物流を支える重要な技術の一つです。特に配送ルートの最適化において非常に有効な手段であり、AIを活用することで複数の配送条件や天候、交通状況などのリアルタイムデータを考慮した最適な配送ルートを即時に算出することが可能となります。その結果、走行距離や時間の短縮、車両台数の削減など、配送効率の大幅な向上へとつながると期待されています。

また、AIは需要予測の精度向上にも大きく寄与します。過去の販売データをもとに未来の需要を予測することで、適切な在庫管理が可能となり、在庫過剰や欠品などの発生を防ぐことができます。

ロボティクス

物流業務にロボティクスを活用することで、作業の効率化や精度向上が可能となります。倉庫内でのピッキングや仕分け作業、荷物の運搬などに活用することで、従来の人手作業と比較して速く正確に商品を取り扱うことができ、物流現場の大幅な生産性向上へとつながっています。

また、ドローンや自律走行車を活用した無人配送の実証実験も進んでおり、これらは交通渋滞の回避や、特に人手不足が深刻な過疎地への配送において効果的な手段として注目されています。

ブロックチェーン

ブロックチェーンは、物流の透明性・信頼性向上を支える革新的な技術として関心を集めています。ブロックチェーンは「分散型台帳」とも呼ばれており、取引データを「ブロック」と呼ばれる単位でまとめ、それらを時系列に「チェーン」のようにつなげて分散管理することで、改ざんが極めて困難な信頼性の高いデータ記録を可能とするものです。

この特性を活かして、現在多くの企業がサプライチェーンの可視化や管理にブロックチェーンを活用しています。例えば、品質の維持にコールドチェーン管理が欠かせない食品・医薬品業界においては、温度ログや輸送履歴などの情報をブロックチェーン上に記録し、データの改ざんを防ぐことで品質保証の強化へとつなげています。また、ブロックチェーンを活用することで、製造から消費者の手に渡るまでの全工程を時系列で追跡することができるため、異常が発生した際の原因や該当ロットの特定が容易となり、リコール対応の迅速化や不正流通の防止にもつながるとされています。

スマート物流のメリット・デメリット

スマート物流は、物流業界の課題解消につながる重要な鍵として注目されていますが、一方で、その推進にはコストやセキュリティ問題などさまざまな障壁が存在します。そのため、メリットとデメリット双方を十分に把握し、適切な対策を講じることが重要です。

スマート物流のメリット

1.人手不足の解消

スマート物流は、物流業界が直面する慢性的な人手不足の解消に大きく貢献すると期待されています。例えば、ピッキング作業に自律移動ロボットを活用することで、従来人が担っていた作業を自動化することができ、より少ない人員で効率的に作業を進めることが可能となります。また、AIを活用した配送ルートの最適化は、配車担当者の業務負担を軽減するだけでなく、走行距離や時間の削減によりドライバーの労働時間短縮にもつながると考えられます。このように、ロボティクスやAIの活用により省人化や省力化、業務の効率化が進むことで、限られた人員でも運用可能な体制を整えることができ、人手不足の解消へとつながると期待されています。

2.コスト削減

スマート物流の推進は、コスト削減にも有効な取り組みであるとされています。上述のとおり、スマート物流により省人化・省力化が進むことで、限られた人員でも効率的に業務を行うことができ、人件費の抑制へとつながると考えられます。また、AIによる配送ルートの最適化で走行距離が短縮され、燃料費の削減も可能とします。

さらに、在庫管理においては、RFIDタグやセンサーを活用することで廃棄ロスや過剰在庫を減らし、仕入れや保管、廃棄にかかるコストを削減することができます。くわえて、システムや機器の導入により業務の自動化が進むことで、ヒューマンエラーを防ぐこともでき、トラブル対応や再作業にかかる手間やコストを軽減することもできます。

3.サプライチェーンの最適化と連携強化

従来、生産・在庫・輸送・販売などの情報は企業ごとに分断されており、サプライチェーン全体の状況を把握することは困難とされていました。しかし、スマート物流の推進により、情報の標準化と可視化が進むことで、異なる事業者間でもリアルタイムでの情報共有が可能となり、その結果、業務プロセス全体の連携が進み、サプライチェーンの最適化と連携強化につながると考えられています。

さらに、在庫変動や輸送状況などの情報をリアルタイムで収集・分析することで、リスクを事前にシミュレーションすることができ、災害や緊急時などの不測の事態にも柔軟かつ迅速に対応できる、強靱で持続可能なサプライチェーンの構築が可能になると期待されています。

スマート物流のデメリット

1.初期投資・運用コストの負担

スマート物流推進の大きな障壁となっているのが、新技術の導入に伴う初期投資や運用コストの負担です。

IoTやAIなど先端技術の導入にはハードウェアの購入費用に加え、システム開発やネットワーク環境の整備など多岐にわたる支出が発生します。あわせて、各システムの連携に向けてデータ基盤の整備が必要となる場合には、さらに大きな費用がかかることも珍しくありません。また、技術の進歩に継続的に対応していくためには、導入後も定期的なシステムのアップデートや保守・メンテナンスが不可欠であり、それに伴う長期的なコストも考慮しなければなりません。このように、高額な初期投資や運用コストは特に中小企業にとって大きな負担となっており、導入を断念せざるを得ないといったケースも少なくありません。

2.現場の抵抗感

スマート物流の推進に向けては現場の理解や協力が不可欠となりますが、推進の目的や効果が十分に共有されていない場合、現場の従業員が新たな技術の導入に抵抗感を抱く可能性も考えられます。特に、これまで慣れ親しんだ業務フローや作業手順が変更される際は、心理的な負担や不安が増し、導入に消極的な姿勢を示すケースも少なくありません。そのため、新たなシステムや機器の導入に向けては、まず現状の課題を的確に把握し、現場の声を反映しながら段階的な目標を定め、関係者間で合意を得た上で進めていくことが重要です。こうした準備を怠ると、PoCの段階でプロジェクトの進行が停滞し、本格導入に至らずに計画自体が中断されるリスクが高まります。

3.サイバーセキュリティとシステム障害のリスク

スマート物流の推進は業務の効率化を促すと期待される一方で、サイバーセキュリティ上のリスク増大につながるとも懸念されています。物流で扱う情報には、顧客情報や配送先、商品の流通状況など機密性の高いデータも含まれており、これらが外部に流出する事態は企業にとって深刻な損失や信頼低下を招く恐れがあります。また、スマート物流では多くの業務プロセスがクラウド上で連携されるケースが多く、利便性が高まる一方で、システムがサイバー攻撃の標的となるリスクや障害発生時に業務全体が停止するリスクも無視できません。とりわけ、中小企業においてはセキュリティ対策に十分な投資を行うことが難しい場合もあり、導入後の安全性確保がスマート物流推進の障壁の一つとなっています。

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スマート物流が直面する課題

中小企業への普及が困難

上述したように、スマート物流の推進には多大なコスト負担や高度なセキュリティ対策が必要となります。さらに、IoTやAIなど先端技術を活用するためには専門的な知識を持つ人材の確保や育成が不可欠となります。しかしながら、こうした技術を理解し適切に運用できる人材の確保は容易ではなく、採用や人材育成にかかる時間やコストが企業の大きな負担となっています。また、導入したシステムや機器を円滑に運用していくためには導入後も継続的な教育や研修が必要となりますが、このような研修は時間やコストの負担がかかります。さらに内容が現場の実態に即さない場合にはかえって混乱や業務効率の悪化を招くリスクも考えられます。

このような中で、特に中小企業においては限られた経営資源の中で資金や人材、ノウハウの確保が難しく、新たな技術の導入が進みづらいという点からスマート物流の推進が困難となっています。

データ連携・統合への壁

スマート物流の実現に向けては、物流の各プロセスを可視化し円滑な情報共有を図るため、企業間でのリアルタイムなデータ連携が不可欠となります。しかし、現状では企業間のデータ連携や統合は困難であるとされています。

その背景には、多くの企業がWMSやTMS、ERPといった業務用システムをそれぞれ異なるベンダーから導入しており、システムの仕様やデータ形式が異なるため、サプライチェーン全体でデータを一元的に扱うのが難しいという実状があります。さらに、企業間の競争意識や情報漏洩に対する懸念、システムの互換性不足といった要因からデータ連携に慎重な姿勢を取る企業も少なくありません。その結果、先端技術を導入しても部分的な最適化にとどまり、スマート物流の本来の効果を発揮できないケースも多くみられます。

スマート物流を真に実現するためには、物流の上流から下流までをシームレスにつなぐ、高度な連携体制を構築することが重要となります。そのためにも、荷主や物流事業者、倉庫業者など複数の関係者が共通のプラットフォームを活用し、情報を共有・活用できる環境を整える必要があります。

データ連携の課題を解決する「Loogia(ルージア)」で、スマート物流の推進を

弊社では、自動配車システム・動態管理システムなど業務効率化を支援するプロダクトとともに、個社の業務要件に合わせたカスタマイズ機能「Loogia コネクト」を提供しております。

「Loogia コネクト」をご活用いただくことで、これまで自動化できなかった複雑な業務要件を丸ごとシステム化することができ、既存システムを改修することなく、スムーズな連携が可能となります。API連携、ファイル連携、データベース連携などさまざまな手法により、Loogiaの各プロダクトとのシームレスなデータ連携を実現します。

既存システムとの連携がうまくいかない、システム化を進めても要件を満たせないなどといった課題をお持ちの場合にも、ぜひ一度お問い合わせください。在庫管理システム、倉庫管理システム、顧客管理システムなど、さまざまな物流システムとの連携実績がございます。

以下の記事でも、「Loogia コネクト」について詳しく解説しておりますので、こちらもぜひご覧ください。

「データ化でお悩み中の方必見 配車システム導入の壁と解決方法を大公開」https://loogia.jp/column/loogiasolution1/

まとめ

当記事では、スマート物流の概要やメリット・デメリット、スマート物流を推進する上での課題等についてご紹介いたしました。

スマート物流の推進は物流業界の課題解決だけでなく、企業の持続可能性や成長促進を支える重要な取り組みであるといえます。IoTやAI、自動化技術などを活用した物流の仕組みを正しく理解し、柔軟に取り入れることで、企業の新たな価値創出だけでなく、社会全体の持続的な発展にもつながるでしょう。

スマート物流の実現に向け、弊社では輸配送最適化ソリューションの提供を通して、より多くのお客様の業務効率化を支援したいと考えております。これまでデータ統合、システム連携の難しさから導入を断念されていた企業様も、ぜひ一度お問い合わせください。

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